第17話

「そういえば…あの知らない先輩は?」


「救急車で一緒に運ばれた。気絶してた。カエさんは怪我してなくてよかった」


「…あまり、記憶はないけど…鈴野くんは、私が力を使うところを見た?」


「途中から。先輩が空に上がっててそれを引き寄せていたところ。カエさんは、センスがあるんだね」


「…お父さんから、私のこと聞くためにバイトを?」


「違う。本当に学費と生活費欲しくて。それから、カエさんと話したくて」


「そんなに能力について知りたかった?」


「違う。カエさんは、俺を見ても特に何も言わないし、逢坂さんにだってみんなと同じ態度だし。そんなカエさんを知りたいと思ったし、なにより…かわいいから」


「え…照れないでよくそんなこと言えるね」


「俺は表情筋をうまく使えない。これでも、照れてる…」


「そっか。そうなんだ。ごめんね、無愛想だと勝手に思ってて」


「そんなの初対面の人から必ず言われる」


「私は、鈴野くんの綺麗な目が気になってた」


「こ、これは父親の遺伝。そんなに見つめられたら困る…」


「私の目は母親の遺伝。青い瞳で、私を見てこう言うの。その力は人間じゃない。神だってね。だから、一度…怖いところに…」


「カエさん」


いきなり、ぐいっと腕を引き寄せられた。

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