第16話

「…たぶん」


「ごめん、俺ちょっと…殴った」


「え」


そんな手荒なことされたっけな?忘れてる。


「それに、お父さんから聞いて知ってた。カエさんは、超能力が使えるんでしょ?」


「…ううん?そんなことない」


「大丈夫だよ。俺は幽霊が見えるから。超能力だっておんなじようなもんだよ」


「…え?幽霊?見えるの?」


「…あと、怨念とか妬みとかいろいろ」


「…そっか」


最初から、鈴野くんは話していたのに。私だけ隠していた。対等じゃなかったな。


「でもお祓いはセンスなくてできない。俺は寺の息子なんだけど、跡継ぎになれないから追い出された」


「お寺の人?…なの?」


全然イメージ違うけど。


「もう違うけど。それで、カエさんのこと、どうにかしたいと思って出来る限り原因を調べてて」


「それで、原因は?」


「りこさん」


「りこ…?友達だよ」


「友達だから。カエさんが逢坂さんと話してると、増えてる」


「なんで?わかるように説明して」


「落ち着いて」


え、手を握ってる?真顔だけど。


「カエさんが羨ましいんじゃないだろうか?りこさんは、逢坂さんと話したい…とか?」


「いや話してるよ?喧嘩してたし」


「…確かに」

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