第15話

「カエさん!待ってよ!俺の話聞いてよ!」


無表情な鈴野くんはこちらを見て叫んでいる。叫ぶことがあるんだ。


「俺はカエさんが好きなんだ!」


は?


「カエさん、そのもやの原因わかったから話したい。もやがあるのは本当なんだよ。信じてくれないかもしれないけど、カエさん、そのせいでネガティブに…」


「違う!私を研究所にやるつもり?それともメディアに売り飛ばす?私を人じゃないと思ってるんでしょ?そうでしょ?」


「そんなこと思ったことない。カエさん、もっと話をしたい。カエさんのこと知りたい」


「そんなの嘘!全部、なにもかも…」


ゆらゆら頭が揺れる。立ってるのが辛い。でも歩かないと…


「カエさん。ごめん」


いきなり記憶がなくなった。なにがあったかさっぱり。目が覚めると、病院だ。天井で、わかった。横を見ると、お父さん…ではなく鈴野くん?制服のままだ。


「あ!カエさん」


へ…抱きしめられた。


「よかった…」


「あの…鈴野くん?なんでここに?」


「…カエさん、気持ちは落ち着いた?」


相変わらず無表情だけど、涙が出ている鈴野くん。綺麗な緑色の瞳が私を写してる。

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