知られたくない

第12話

夏になり、暑くなってきた。もうすぐ夏休みだ。相変わらず、席替えはしない。


「カエ〜暑いねぇ」


「確かに暑い…」


「ねぇ、見て。もしかして鈴野くん、夏バテ?顔色が悪くない?」


「知らないよ?」


「話しかけたいなぁ…私と話したら元気になってくれるかな?」


なんの話?


「優しく看病してあげたいなぁ…そしたら、帰らないでって言われて泣きつかれたりして」


妄想のようだ。


「鈴野くーん。ねぇ、起きてる?」


鈴野くんに逢坂さんが話しかけてる。が、本人はぼけっとして全く聞いてなさそう。


「鈴野くん、ピーチちゃんが話しかけてるよ」

「ほら、聞いてあげなよ」


近くの人たちが気を遣ってる。


「…悪いけど、話を聞く余裕はない」


「…そう?」


逢坂さんはあっさりと諦め、私たちのところに来た。


「カエさん。鈴野くんと話してる?隣だけど」


「いや特には」


「やっぱりね〜」


「カエを見下さないで下さい」


「なによブス」


「それあなたでしょ?」


「やめなよ2人とも」


ちょうどチャイムが鳴って助かった。急いで席に着く。だが先生が来なくてざわざわしてる。


「…今、もやが増えてる」


「は?」


いきなり鈴野くんが話しかけてきた。

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