第10話

約束の夜8時に店に現れた。


制服…って?


「鈴野くんなんで?」


「カエの知り合いなのか?」


「いやクラスメイトなんだけども…」


さっきも会った。鈴野くんは無表情だ。


「なんだそうなのか!なら採用!」


「え…ちょっと、面接は?」


「カエの知り合いなら大丈夫だろう」


「え、でも…なんでバイトしたいのか聞こうよ」


「学費と生活費のためです」


「それは大変だね。一緒に頑張ろう」


お父さんは乗り気であった。


「明日から来ていいよ。学校終わってからがいいよね?カエと同じ時間にしようか」


「え…そ、それって私が教えてあげないといけないってこと?」


「カエは優しいから安心しなさい」


「はい」


いや、ちょっと…鈴野くんなにがしたいの?

関わらないで欲しいんだけども。


「鈴野くん、親の人はこんな夜に出歩いてもなにも言わない?」


「一人暮らし」


「そうなんだ…」


わざわざ引っ越してきたんだろうか?


「鈴野くん、それならお弁当ひとつ持って行きなさい」


お父さんは廃棄するものを鈴野くんに見せてる。


「い、いいんですか?ありがとうございます」


無表情だけど、感謝はしてるようだ。

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