田中修二の場合

第1話

17歳の少年ながら田中修二は今の人生に飽き飽きしていた。

別に彼は友達がいないわけでも勉学が出来ないわけではなかった。

むしろ、周りからは"完璧超人"と言われるくらいの奴だった。

では、なぜ彼はそう思っているのか。

それは彼が『完璧超人』だったからだ。

あまりにも全てが出来すぎた、それゆえに今の生活に刺激がなかったのだ。

「あーあ、もっと違う人生を歩みたかったな~」

毎日そんなことをぼやいていた。

そんな生活を続けていたある日、彼のスマホに一件のメールが届いた。

内容は別の人生を体験できるというものだった。

「馬鹿馬鹿しい、とんだ暇人もいるもんだな」

そのときはとくに気にも留めずに受け流していた。

次の日。

彼は目覚めると胸の辺りに妙な重さを感じた。

周りにはさまざまな人形とそこらかしこにアニメキャラクターのポスターが張ってある。

明らかに昨日眠っていた部屋とは明らかに違う。

ふと、昨日送られてきたメールが頭の中をよぎった。

「いや、まさか。そんなことあるわけが」

スマホを探して、カメラを起動する。

インカメにすると、そこに映ったのは女性の顔だった。

「あれ、本当だったのかよ」

ため息を着くと彼はこの 女性、"磯崎優香" として生きていくことを決心した。

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