第12話
人格の分離によって精神が磨り減っていた彼女はあれから一度も食事を食べなくなった。口にしても吐き出し、身体が拒絶していた。
母親の結月は心配して病院につれていこうとしたが、本人がそれを断ると素直に止めてしまった。
愛を知らなかった結月にとって、どう娘に接すればいいか分からなかった。
それに虐待のこともある、だから本人の主張を尊重してしまったのだ。
結果、4日後に彼女は死んでしまった。
彼は寝そべっていた。
目を開けるとまた知らない場所にいる。
転生は終わらない。
「ああああああああああああああ」
彼の精神は限界に近かった。
普通の人間ならばいくら苦しくてもいくら辛くても、
死という最期の逃げ道がある。
最悪、そこに逃げてしまえば苦しみは消えるのだ。
しかし、彼は違う。
生きている間に辛い思いをしようが、転生して生き続ける。死と言う逃げ場など存在しない。
初めの人生で願った『自由』を得る代償に、
彼は『精神』を犠牲にしまったのだ。
"河内夏蓮"としての人生終了。
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