第11話

その日から2人の関係は変化した。

元から仲のよかった家族のように結月は彼女を可愛がった。今までの所業を毎日毎日謝罪してきた。

一方の夏蓮は毎日、恐怖していた。

前世の人格がいきなりでてくることなんて今まで無かった。あのときから時々、"勇太"に人格が切り替わることがある。

その度に頭を彼女はそこら中に打ち付けた。

『いくら転生しても私が私であること』

それだけは絶対譲れなかったのだ。

転生人生の中で初めて死ぬことが怖くなった。

自分がいずれ誰なのか分からなくなるのが怖かった。

自殺しようにもそれが怖くて出来ず、死ぬまで彼女の精神は徐々に磨り減っていった。


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