第9話
満足してから死んだ彼女にとって、今回の人生での目的は特に無かった。
とりあえず家の中を捜索していた。
「夏蓮、来なさい」
母親彼女を呼ぶ。
彼女は母の元へ向かった。
ボサボサの髪にそばかすだらけの顔、明らかに不摂生な生活をしていることが見てとれた。
部屋には母が吸っているたばこの煙が蔓延していた。
「なんではもっと早くこなかったのよっ!!」
大声で怒鳴りつけると、灰皿をこちらに投げてきた。
彼女に灰皿が当たる。結構痛かったようだ。
「ごめんなさい」
彼女は素直に謝る。
「おしよきよ、我慢しなさい」
母親はそれでは気が済まなかったらしい。
彼女の服を脱がすと、吸っていたタバコを押し付けてきた。
今まで感じたことの無い痛みが彼女を襲う。
肌はジリジリと焼かれる感覚に思わず叫んだ。
「うっさい、黙れ!!」
母は髪をつかむと、彼女の顔面をひっぱたいた。
彼女は今にも泣き出しそうになった。
「ふん、いい気味ね」
彼女にそう吐き捨てると再びたばこを吸いだした。
「なんなのよ、あのクソ野郎」
部屋に戻った彼女は一人呟く。
自分の子供にあんな風にするなんて同じ母親として許せなかった。一言言おう、そう思っていたが話の通じる相手ではない。
それからと言うもの彼女は気持ちを押し殺しながら、生活し始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます