第8話

60年後、彼女は90歳となってひ孫も出来た。

以前のように一人で出来ることも減ってきて、病院でずっと寝たきりのことが多くなっていた。

「ひいおばあちゃん、死なないでお願い!」

意識がもうろうとするなかでしわくちゃな彼女の手をひ孫は必死に握っていた。

彼女の子供も孫もその言葉で涙を流しだした。

「私は本当に幸せ者だよ。みんなありがとう」

最期の力を振り絞り、皆に感謝をのべるとそっと目を閉じた。

次に目を覚ましたのは子供部屋であった。

どうやら小学生くらいの女の子のようで周りには可愛らしい人形が多数並んでいた。

戻ったのは死んでから60年ほど前だったのか以前の人生で少女の子供と遊んだ物ばかりで懐かしい気持ちになった。

少女の名前は "河内夏蓮"

片親の少女だった。




"柊 愛依"の人生終了



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