第6話
1ヶ月後、彼女もとい"柊 愛依"は悩んでいた。
今回の転生先は性別が今までと違うからか慣れないことが多いのがまずひとつ。
特にトイレなどはかなり不便だった。
だがこれは慣れればなんとかなる、それはいい。
問題は彼女の職業だ。
始めてみたときからやけに顔がいいと思っていたが、まさかモデルだとは思ってなかったようだ。
芸能関係の友達は出来て、テレビでしか見たこともないようなスターにも大勢会えた。
それ自身は喜ばしいことなのだが、明らかに今の彼女にはこの職業が向いていない。
それは当の本人が一番理解していた。
以前の失敗はもうしないにせよ、いつかボロが出る。
かといって止めるにも止められもしない。
結局、その後もズルズルとこの職業を続けていた。
そんなある日、ある男性俳優に呼び出されて六本木のレストランへで食事をした。
彼は数少ない気さくに話せるような人だった。
「今日はお疲れ。どうだった?今日の収録はさ」
彼女はまあまあだったと言い、ワインを飲む。
この酒も今から食べる食事も前までの人生だったら見ることがないような高級なものばかり。
最近の彼女はこの人生は案外悪くもないのかと感じるようになっていた。
食事も終わりへと近付き、改まったようにこちらへと向き直る。彼の顔がいつになく真剣なものへと変わり、口を開いた。
「柊さん貴方のことが好きです。僕と付き合ってくれませんか?」
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