第5話

彼女の自宅の近くでは工事現場があり、毎朝その音で起きてまう。

今日もいつも通り、その音で彼女は起きてしまった。

何気ない日常が始まる。あるひとつを除いて。

「え、また?」

彼女は既視感を抱いていた。

知らない場所で自分ではない誰かになっているこの状況。

また生まれ変わったと察するのにそう時間はかからなかった。

性別も違う、誰かも分からないこの少女の人生を彼女は歩むのだ。

おもむろにメモを出し、前回のことを書き移す。

失敗を繰り返さないように些細なことも覚えている限りはすべて書き記す。

「今回は失敗しない。幸せを掴んでやる」

自身に言い聞かせるようにその言葉を何度も繰り返した。


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