第三章ーーー救世主と女の気持ちーーー
「救世主?」
明凜は意味がわからず首をかしげる
「話は追々する。明凜はこの国の救世主なんだ。
皆花嫁を待ち続けてきた。
だがな、その存在を煙たく思う奴もいる。」
「そうなると、私はどうなるの?」
「命を狙われる。殺しに来るだろう。」
明凜の顔がどんどん青ざめていく
無理もない。明凜のいた世界では命を狙われるなんてこと絶対になかったのだから
恐怖で肩が震える
明凜の様子を見て紅玉は切なそうに見つめる
「明凜、我々の都合で呼び出してすまない。
その代わり、明凜の命は絶対に守る。」
この世界では頼るところがない
命を狙われる存在になってしまっては、もう紅玉にすがるしかない
「戻る方法は?」
口を開くまでに少し時間がかかった
「かつて花嫁が召喚された話は聞くが最後はどうなったかはわからないんだ。文献では召喚された者は精霊とされているんだが……」
じーっと見つめられる
「わ、私人間だよっ。精霊とかわかんないけど。」
「そうだろうな。見た所力を感じない。ただ、これから覚醒するかもしれない。そうしたら自分の力で帰れるのかもしれないな。」
「力がつくまでの辛抱てこと?」
「戻れる保証はないがな……悪いが、国のためだ。明凜、最初に言った通り、元の世界は忘れろ。」
「そんなぁ……」
ガックリ肩を落としているところへ誰かが部屋へ入ってきた
「朱雀様、お呼びで?」
振り向くと筋肉質で大柄な男が立っていた
190センチは確実に超えているであろう
彫りも深く彫刻のような顔立ちだ
肩くらいの髪を後ろで結っている
赤いリボンが特徴的だ
「ああ。
ポンと明凜の肩を叩き、
「ふぅーん、この子が花嫁……ねぇ。」
「な、何よ?!そんなにジロジロみて失礼よ!」
威嚇のためファイティングポーズを取る明凜
端から見るとハムスターがライオンに喧嘩を挑んでいるようにしか見えない
「…………。やーーーだーーーー❤️こんなに小さいのに威嚇してるわぁあ!可愛い~!!」
自分の頬を両手で抑えながらくねくねしている
「へ??」
「ちょっと!あなた髪の毛さらっさらっじゃないのぉ!どんな手入れしたらこうなるわけ?よく見たら顔も綺麗な顔してるじゃない!これは腕がなるわね!」
がし!っと明凜の腕をつかみ髪やほっぺをむにむに触られる
興奮した
「そのくらいにしておけ。怯えてるぞ。」
「え?あっら!そんなつもりなかったんだけど、ごめんなさいねぇ!」
「お、オカマのお兄さん??」
(情報が多くてついていけない)
「もーー、心は女よ❤️」
ウィンクをされた
「
明凜の護衛と世話係には最適なやつだ。俺が一番信頼してる男だしな」
「紅玉~!男って言わないの!」
「お前こそ紅玉と呼ぶなと言ってるだろ。」
(わ、私ここでやっていけるかな?)
明凜の心配をよそに二人のやりとりは続いていくのであったーーー
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