第二章ーーー幸運の花ーーー


「ここがお前の部屋だ。」


 屋敷の中のひときわ大きな部屋に通される


 装飾のある机や椅子

 無造作に装飾品が置いてある


 ボーッと立っている明凜を見て紅玉こうぎょくは寝台に座った


「よし、脱げ」


 さらりと言った


「はあ?!何言ってるの??てゆうかさっきのも何なのよ!いきなりあんなことして!」


 怒りで手が震える


 (なんなの、なんなの‥いきなりこんなとこ連れてきて今度は脱げって)


「花嫁には印があるんだ。体のどこかに。子供の頃からアザのようなものはなかったか?」


 何を怒ってるんだ?と言わんばかりに飄々ひょうひょうと説明される

その涼しげな顔が余計に腹が立つ

 

「アザ?そんなの昔からない……わ……つっ!」


 言いかけた途端、右足の内腿にヒリヒリとした痛みが走る


 思わず制服のスカートをめくって確認した


「な、なにこれ……」


 太ももの内側に手のひらほどの大きさで花が浮かび上がる


 その花は段々と色づき、やがて綺麗な薄桃色に染まった


「蓮の花?」


 明凜は座り込んでまじまじとこの不思議な現象を見ていた


「どれ。見せてみろ。痛みは?」


 紅玉こうぎょくはひょいっと明凜を抱き上げ少し背の高い長机に明凜を下ろした


 さっきのお姫様抱っこといい、今といい、軽々と自分を抱き上げてしまう紅玉に不覚にもドキドキしてしまう

 

「い、痛みはもうないんだけど、ちょっと火傷みたいになってるかも。」


「少し赤いな。薬草でも塗っておくか。

でも、印がある場所が内腿だとはな。幸運だ。」


 紅玉は棚から薬を出してきて明凜の内腿に塗り始めた


「どうして幸運なの?」


 包帯を巻きながら紅玉は明凜の瞳を見つめる


「こんな場所、俺以外には見せないだろ。」


 そう言いながら綺麗に包帯を巻き終わり、スカートを元に戻した


 こんなセリフ誰にも言われたことがない

 どんどん体の体温が上がるのがわかった

 

「まだ、名前を聞いてなかったな。名は何と言う?」


 顔が赤くなるのを悟られないように、うつむいた


首藤明凜すどうあかり


「明凜……りんとしたかりか。我が国の救世主にぴったりの名前だな」

 


 


 

 



 


 

 

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