第13話

まだ「解離性同一性障害」と診断される前の事です。記憶が無くなったり自傷行為をしたり自分以外の存在を感じたりしていたのですが、誰にも相談出来ませんでした。「なんかヤバい事になってる」と思ってはいましたが誰にも言いませんでした。

丁度病院の先輩達からイジメを受け始めてすぐの頃ですね。

「ヤバい!」と思っていても自分では認めたくなかった。ただでさえイジメに遭ってると誰にも知られたくないのに自分の身に何か変な事が起こってるとは言えませんでした。

今思えば人格達を作る事で我が身を守っていたと思うのですが、「自分の他に誰か別の人格がいる」とは思ってもいませんでした。…認めるのが怖かったんです。書いた覚えの無いノートに書き殴られた数々の知らない事や文字らしき物など人格達は分かりやすくサインを出していたんですが…。


人格達とやり取りしているノートやメモなどはかなりの数になりますが、全て主治医に提出しています。

主治医は解離性障害の専門医でありよく知らないけどその専門では結構偉い人らしいので、もっと解離性障害の専門医を育成する活動をしているのでその

症例として使用させて欲しいと頼まれたので「役に立つのであれば」という事で主治医に全て提出しています。

私は自分以外の解離性同一性障害の方に会った事が無いのですが、もし私のノートやメモなどで役に立てていたなら嬉しいです。

役に立ってる実感は全く無いけど…。

私の治療や他の人格達の治療にも欠かせないノートやメモですが、どこに行くにも持って行きます。いつ他の人格達に入れ替わるか分からないし記憶が無くなるか分からないからです。

『私』は一人の時しか出てこないので、出てきた時そのノートやメモに書かれている物で自分の状況を知ります。時には相談らしき事や困り事が書いてある事もあり「こうしたらどう?」と返事を残す事も多々あります。本当に交換日記のようです。

主治医と直接やり取りをしている人格達もいます。

基本的には書く事が好きなので苦にはなりません。

しかし字が書けない人格達が描くイラストのような物は解読がしにくいですね。

そういった場合は『私』自身が主治医に相談の手紙を書きます。

以前の私や他の人格達からすると考えられないくらい進歩しました。しかし主治医以外には相談しないというか出来ません。

家族や周りの人達には障害の事を一切口に出しません。特に両親には聞かれても言いません。

両親はまだ障害の事を受け入れていないし、そもそも我が子が精神科に通院している事自体を受け入れていないからです。

父に至っては「恥」だと思っているようです。


なので父に対応する役割を持ってる人格達は大変です。入れ替わりが激しい上常にイライラ、ピリピリしています。父と一緒にいると記憶が無くなる事がほとんどなくらいですね。

理解しろとは言いませんが、「余計な事を言ってくれるな」と切に願ってます。

担当人格達に言わせると「時々殺意がわく」らしいです。あんまり人格達を刺激して欲しくないのですが…。

『私』はノートやメモなどで知る事なのでどうすることもできません。






















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