第4話

実家に帰ると、待っていたのは憔悴している母と私に対して怒り狂っている父でした。


父は『父』のままでした。

精神的に抑圧しようとする父と私の顔色をうかがう母。


ここから更に私の記憶は無くなっているので、後から聞いた話や私自身が残したノートで書きたいと思います。


あの頃の私は一日中眠っている感覚でした。起きていても長くて半日ぐらい。なので覚えてはいないのです。


母の話では私はやはり姉の所にいた時と同じ様な感じとまたは全く違う大人しく感じだったそうです。


病院に連れて行こうにも拒絶反応が激しく過呼吸を起こし失神したり、フラフラとどこかに行ったまま帰って来なかったり、かと思ったら突然自傷行為をしたりと母達が思っていた以上に私の状態は酷いものだったそうで大変ショックを受けたそうです。


病院関係に関連する話題すら出来ず、かと言ってそのままにする訳にもいかないので、母は姉に私を連れて行けそうな病院を探してもらっていたそうですが父が反対したのだそうです。


自分の娘は病気ではないと。そんな精神的な病気ではないので病院へは行く必要はないと母と姉を叱ったのだとか。


その頃の私が残したノートには真っ黒や真っ赤に塗りつぶされたページが多々あります。そしてよく書かれていたのは

「今日は殺されなかったけど明日は分からない」

「あの人達がいつ私を殺すのか、それとも私が殺される前に殺すのかどっちが先か?」


などやっぱり私は『殺される』と思っていたようです。


ここで示しておきたいの「私」と書いていますが、イジメで身体的、精神的限界を超えてしまった少し前から複数の人格達が出来ていたらしく誰が「私」なのか区別がつかない。

姉が迎えに来てくれた頃、姉の部屋にいた頃、実家に戻った頃、もうすでに複数の別人格達が表に出ていました。多分眠っていたのが主人格の「私」だと思います。


なので正確に表現するなら私ではなく「私達」になるのです。

ややこしいですが、とりあえずまだこの時は多重人格だと分かっていなかったので全部が私一人なんですよ。


話を戻しますが、母と姉は父に叱られても病院探しはしていたそうです。しかしその事が私にバレてしまいました。


病院に連れて行かれると思った私は凄まじい抵抗をしある時からピタリと奇行をやめたそうです。


そして『いい子』になった。

子供の頃と全く同じ様な誰にも迷惑をかけない『普通のいい子』になりました。


どうやら私は病院に連れて行かれないように、『殺されない』ように学習したようなのです。


『いい子』を演じていれば大丈夫。『いい子』の人格を作れば『殺されない』


そう学習したのです。


そういう事で私は子供の頃と同じく『いい子』になりました。


しかし私の残したノートには『いい子』になるまでの過程が書かれています。そして『いい子』でいる間の苦しみと絶望と親や周囲の人達が求める『理想な私』がどんなものか乱れた文章で書かれているんです。





























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