第3話
学校を休学した後、私は実家ではなく姉が一人暮らししている部屋に転がり込みました。
父親から『殺される』と思っていたからです。
私が見ると父も先輩達も一緒。
「私を殺そうとする人達」だからです。
姉も父から私を一度離した方がいいと思ったらしく姉の方から部屋に誘ってくれました。
しかし身体的、精神的に限界を超えていた私を待っていたのはある意味『地獄』でした。
過呼吸を起こし失神し、寝ようとするとフラッシュバックが起こって悲鳴をあげ自傷行為をする。
人混みには行けず、部屋から出れない。
食べたらすぐ吐き戻す。食べ物を受け付けない。
記憶が無くなり、気がつくと見知らぬ場所にいて
どこか分からず、姉はいなくなった私を探し回る。
私は助けてくれだ姉すら信用していませんでした。
だって『いつ殺されるか分からない』から。
私はずっと周りの人達は自分を殺そうとしていると思っていました。
辛かったあの場所ではみんな私を殴り蹴り「死ね」と毎日『殺そうとしていた』からです。
いつ誰が私を殺しにくるか分からない…
そんな恐怖と闘っていました。
そのうち『殺される』から『殺される前に殺さなきゃ』という思考に変わってきたので私は姉の部屋にある押し入れの中で、カッターナイフやハサミを持って立て篭もるようになりました。
過呼吸、フラッシュバックによるパニック、食べ物を受け付けない。食べようとしない。記憶の混濁。
昼夜問わずの行方不明…
数々の奇行に姉は文句も言わず、私に向き合ってくれました。ただただひたすら私に『ここは安全だよ
』『私はあなたを殺さないよ』と教え続けました。
そのおかげで少しずつ私も姉を信用し始めましたが奇行は収まりません。そこで姉は私を病院に連れて行くことにしたそうです。
しかしここで問題なのが心が限界を超えた原因の場所が「病院」なのですよ。
ただでさえ病院の近くに近寄っただけ、病院という文字を見ただけで取り乱すのにどうやって「病院」
に連れて行くか?
姉は相当悩んだそうです。そしてどの病院が良いのか迷ったそうです。
さまざまな病院、診療所を調べて職場の方々にも相談したのだそうです。
姉の目には私は『今にも死ぬ』と写っていたそうですよ。このままでは死んでしまうと…。
姉も必死だったそうです。
そんな姉の葛藤も分からず、ただただ奇行を繰り返す私。
その中で私は落ち着く為に自分の気持ちを表す「詩」のような物を書いていました。
今自分がどのような事を思っているのかを書き綴りました。
部屋に閉じこもり奇行を繰り返す私が落ち着くまで、姉は待ってくれました。でも病院には連れて行けません。
そんな状態でもまともな思考が少しずつ戻り始めた頃私は自ら実家に帰る事を姉に伝えました。
姉にはもう迷惑をかけられないからと決死の覚悟で
父のいる家へと戻りました。
心の中では『遂に殺される』と死を覚悟して…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます