第33話 似た者同士のお遊戯
「警察だ!」
銃を向けた警官二人は、異様な匂いのするその部屋で、黒いゴシック調のドレスを着たやつれた女に警戒する。一人の警官はあまりの気分の悪さに嘔吐する。
テーブルに座ったミイラ達。警察である以上、白骨化した死体もミイラ化した死体も見た事がないわけじゃない。だが、ここにいる死体はその全てが異常だった。大きな身体に、異様に小さな頭蓋骨が乗った死体。手足の長さがどう考えても違う死体。
それら人間の形をしている物はまだマシだった。鉢植えに、人間の骨らしきものが生けられている。
「先輩、こいつ・・・・・・何かヤバいです」
「団地の人間、殆どを殺害したのはお前だな? お前を逮捕する」
そう言った警官に女性はやつれた顔で微笑んだ。
「私じゃないわ・・・・・・、こんな素敵な事ができるのは、世界広しといえども、私の娘だけよ。出てらっしゃい」
ひょこりと小動物のように、血色の悪い少女が顔を出した。死体の中で眠り、そして死体の中で食事をし、息をして・・・・・・人間の生活ではない環境に置かれた少女。信じられない。
「嘘をつくな! こんな子供にこんな地獄が作れるわけないだろう!」
警官二人は母親の大量殺人、死体遺棄に関して逮捕を、そしてその娘を保護。悪魔の様な母親から娘を救った正義の味方気分だった。
裁判前に母親は隠し持っていた毒物で獄中死。母親は、安心して眠れると遺言を遺し、そのあまりにも自分勝手な行いに死してもなお叩かれた。
警察は、知らなかったのだ・・・・・・このイカれた母親は外の世界に悪魔を放りださないように、あのアパートという地獄の中で悪魔を留めていた事。彼女の娘はアンヘルと呼ばれていた。
天使・・・・・・アンヘル。天使ではなく、一つの地獄を意味した名前だった。
彼女を保護した警官は、児童養護施設の子供達総勢24名が一夜にして皆殺しにされた時に知った。
殺しっこ・・・・・・、先生を殺して、一番殺しに参加しなかった子を殺して、その子を殺す事に意欲的でない子を殺して、殺して、殺して・・・・・・最後に残った男の子はアンヘルに手を差し出して笑った。
「アンヘル、楽しいな! お前と俺は同じサイコパスだ! 次は誰を殺す? 麓の村の奴らでも殺すか? なぁ・・・・・・あ? えっ?」
アンヘルは目の前の少女に突き刺さったナイフを引き抜くと少年の胸に突き刺した。そして少し困ったような顔で微笑む。
「怖いわぁ、こんなにも沢山殺して、だから怖くて怖くてたまらないから、私は貴方を殺すのよ?」
ップシュ。胸の肉が締まる前にナイフを引き抜くと、何かを叫ぼうとした少年の首元を深く切り裂いた。アンヘルはしばらくして、警察に保護される。
精神鑑定に当てると、アンヘルを担当した精神科医が、アンヘルを危険だと判断し少年院に送ればそこに収容されていた子供達が・・・・・・死ぬ死ぬ死ぬ。いずれ、アンヘルに行われた事は、金属の棒に縛り付け、真っ暗な空間に食事時以外放置する事だった。真っ暗闇は人間の精神を蝕み、ブォンと言う変な音と共に目覚めると見知らぬ学園、また殺しが出来る。そう思っていた。
★
「ふぅん、で、お前がそのアンヘル?」
「・・・・・・た、助け」
「サイコパスだかなんだか知らねーけどさ。たかだが二十人、三十人やっただけで調子乗るなよとーしろが」
ワッペンはこいつから奪えば全部揃った。時間はたっぷりあるし、少し楽しませてもらおうか・・・・・・
「俺はさ、お前みたいにそんな非効率な事はしなかったんだよな。例えば、この腕・・・・・・なんか不格好じゃね?」
アンヘルの背中を踏みつけ、腕を引っ張る。じっくりと引っ張れば、ゴキゴキと変な音がして、関節が外れる。その痛さと言えば、骨折よりもいてぇーんだよな。
ごきゅ、ごきぃ!
「ひぃ、ひぎぃぃいいい!」
「あぁ・・・・・・いい。その悲鳴かわいい!」
俺はアンヘルの唇を吸う。そして・・・・・・
ぶちゅ。
「いだぁ、ぎゃ、ぎゃああああ!」
舌をかみ切っちゃった。嗚呼、可愛い。可愛い。やべぇ、興奮してきた。痛がるアンヘルの服を切り裂いて、。柔らかい腹部にナイフを向ける。
これをライターで熱して・・・・・・
「やめぇ・・・・・・やべでぇ」
「おっおっおっ、あふぅ、ああああん、いぐぅううう!」
俺は絶頂と共に熱したナイフをアンヘルの腹部に突き刺した。肉が焼ける匂いと共に、すぅううと綺麗にアンヘルの身体が切り裂かれる。ピンクの臓物に健康的な赤い血。俺の下の穴がぐちょぐちょに濡れ、アンヘルが死ぬのと同時に俺は達した。
「はぁはぁはぁ・・・・・・やべぇ、パンツ代えねぇとな」
死んだアンヘルの顔に俺のパンツをつけて、かわりにお前のパンツを貰っていくぜ。本当なら、こんな可愛い死体。持って帰ってホルマリンで洗って友達以上、恋人未満にするんだけどなぁ・・・・・・もったいねぇ・・・・・・とりあえず一仕事終えた一杯だな。
ペットボトルに俺は常に果汁100%ジュースにイースト菌を入れて発酵させた自作酒を持ち歩いている。最高に悪酔いするこの酒の美味い事。
なんだ? 誰か来やがるな。
「私から、貴方へ、この歌を届けよぉ♪」
歌・・・・・・ノンキに歌を歌いながらやってきた白いワンピースの・・・・・・最高のぽにーたちゃんがやってきやがった。
なんだこいつ。こんな奴学校にいたか?
「お前誰? めちゃくちゃ可愛いぢゃんかよ。そうだなぁ、あとは・・・・・・死体になってくれればもう文句のつけどころがねーんだけどな」
なまっ白いメスガキは俺に微笑む。この笑顔・・・・・・感情的な笑顔じゃねーな・・・・・・薬中のチックだ・・・・・・なんだよなんだよ・・・・・・やべー女じゃねーか、さいっこう・・・・・・またマスかきなくなってきたぜ。
「ちずる」
「ちずる。ちずるか、俺はさくら。お前の未来の恋人だ」
「カッ!」
このメスガキ、鋭い裁断鋏をいきなり俺にノーモーションで振りかぶってきやがった。やべぇ・・・・・・すげぇ、おもしれぇ!
「おらぁ!」
メスガキのどてっぱらを蹴飛ばして、もう気絶したか? いい反応だったけど・・・・・・俺に勝てるわけねぇーだろ。ワッペンはもう集め終わった事だし、このメスガキで時間いっぱいまで弄ぶか・・・・・・
マジか・・・・・・
「痛ってぇな!」
ポタポタポタポタ・・・・・・・・・・・・俺の耳から血が垂れる。そして、俺の手の中に・・・・・・俺の・・・・・・俺の・・・・・・
「俺の耳がぁあああああ! 耳が取れたぁああああ! あぁあああああ! てめぇ、ぶち殺す! ぶち殺ぉおおおおす!」
右ストレート。メスガキの顔面にめり込む一撃。かーらーのぉ! 死ねよ!
ビュン!
腕に隠した研いだ五寸釘。確実にぶち殺せる距離だ。弄ぶのは殺してからだ。まぁ、もう死んで・・・・・・
嘘だろ・・・・・・
「おい、3メートルの距離で不意打ちだぞ・・・・・・多々良と小鳥ちゃんでも避けられねーだろうよ。お前なんなの?」
このイカれメスガキ・・・・・・ただもんじゃねー、なんだなんだ?
「お道具ばこ? 何それ?」
「あなたぁは・・・・・・これでぇ・・・・・・着せ替えあそび、しーましょ」
歯科治療用のペンチか、それで何処をどう着せ替えする気だよあぁ? いいじゃん。どっちが解体屋か決めようぜ。
「あはははははは! あなた、おもしろい。おにんぎょー」
ふわふわきもちわりぃメスガキだが・・・・・・なんてやべぇ体幹してやがんだ。あんなでかいペンチ振り回して、この速度。やべぇやべぇ・・・・・・俺は戦闘ってのは小鳥ちゃんや多々良程うまかねぇんだよな。
「悪いのは、肩?」
「・・・・・・・あぁああああ」
こいつ、イカれてやがる。肩の肉をごっそりやられた。なんだよ。なんで? やべぇ、犯してぇ、生きたまま犯して、殺してからも犯して・・・・・・あぁ・・・・・・あぁ。しゃーねぇなー。やるか・・・・・・。
カフェインを生成した物を薬煙草に巻いて吸う。俺のとっておきだ!
「はあああああ、きくぅうう!」
メスガキの腹を蹴り飛ばし、いける。俺の身体じゃねーみたいだ。いけるぜ、このドーピング。馬乗りになってメスガキの顔を腹を殴り続けた。もう死んだかわからねーけど、一発やってから解体してやる。
「ちずるちゃーーん、ぬぎぬぎちまちょーね」
ぶちぶちと服を破り、メスガキちずるを・・・・・・ちずるを・・・・・・・
「おいおいおいおい、君は不死身ですか?」
指、三本もっていかれた。糸鋸で? 俺の指を切断しやがった・・・・・・化物め・・・・・・なんなんだよこいつわよぅ・・・・・・酒、全部飲んどくか・・・・・・
「くっくっく、ぷはぁあ! じゃあちずるちゃん、第二ラウンドいっとくかぁ? 俺の恋人収集とちずるちゃんのお人形遊びと、どっちがより崇高な物か、決着つけよーぜ」
小鳥ちゃん、多々良、見つけたぜぇ、俺の最高のパートナー。
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