第13話 家族に甘えたい年頃のさくらちゃん
最近の私のベストプレイス。
屋上、そこでヨモギ煙草なる最高に不味いクスリ煙草を吹かしながら何も考えない時間こそが尊く思える。
「小鳥ちゃぁ~ん、バケツの水ぬるない? 氷あったら分けてぇや!」
「五月蠅いわね。全部溶けてるわよ。それにあったとしても多々良に分けるわけないでしょ……叫んだらより暑くなったじゃない」
学校全部が停電。そして、春先だというのに異常気象ともいえる真夏日。自動販売機のコールドドリンクはすぐに売り切れ、どこもかしこも暑すぎる。そんな中、多々良がクラブハウスから盗んできたまだ溶けていない氷をバケツに入れ、人知れず屋上で涼もうとしていたわけだが……
「多々良、よく考えたら日が近いし、コンクリートからの反射熱でよりこっちの方が体力使わないかしら?」
「せやなぁ~、これお泊り会よりもキツない? てか全然高等部とかの生徒みぃひんけど、どこおんねん」
三本目、そして四本目のヨモギ煙草に火をつけたあたりで屋上の扉が開かれた。
私はすぐに咥えていたタバコをバケツの中に捨てる。多々良はややのぼせたような顔をしていたので、私が取り上げて多々良の太ももに煙草の火をおしつけた。
「いっぅう!」
「目覚めた? 白雪ちゃん」
アタシの無邪気な笑顔に、多々良は心底怒りを込めたさらに無邪気な微笑みで返す。
「さめちゃったやん! ぽかぽか陽気やったのに」
その陽気に身を任せていれば死んでたかもしれないけれどね。私達の憩いの場に踏み込むのは見慣れない少女。
そして、多々良が喰いついた。
「なになになに! めっちゃ可愛い子やん! ウチ、多々良白雪。でこっちが……」
「お泊り会を度々、攻略している小鳥と白雪か、案外普通だな」
遊びにきたとか、サボりに来たとかっていうわけじゃなさそうね。黒いツインテール、大きな瞳にまだ熟れる前の身体。多々良が好きそうな容姿。そして感じる、いいえ、全く隠そうとしない腐った臓物のような不快な雰囲気。
「貴女は?」
「俺か? 藤堂さくら、あのイカレ悪食の邦彦を殺したって聞いて顔を見に来た」
あの化物の事を知っている。あとこの喋り方からしてまともな少女ではなさそうね。
「どうしてあの化物を知ってるの?」
「どうして? どうしてかって? ぎゃははははは! だって、俺とあいつは似た者同士だからよ。あいつがメスガキ食い殺してる横で、俺は死んだメスガキの身体にファックしてたんだからな」
死姦愛好者……はぁ……多々良とは相性がすこぶる悪そうね。ちらりと見た多々良は既に眉間に血管が浮き出る程度には怒りの頂点に達している。可愛い少女の顔もここまでできれば大したものよね。
「で? そのさくらちゃんが何の用なん?」
「まぁ、そんなに邪険にするなよ。俺にも一本くれよ」
さくらの声は高く、そして特徴的な甘い事。あまりのギャップに可笑しくなる。多々良はヨモギ煙草を一本取り出すとそれをさくらに渡し、自分の咥えている煙草を突きだした。
「趣味の悪い火のつけ方だ」
気持ちいいくらい貫録のある吸い方でさくらはヨモギ煙草を吸うと嬉しそうにこういった。
「まじぃ! 最悪な煙草だな」
小等部の女子三人が煙草を咥えて語り合っているというのはいささかシュールな情景に違いないでしょうね。さくらは可愛い顔を蕩けさせて、鼻から煙を出す。そしてさくらは私達に尋ねた。
「で? お前たち、何回目よ? ちなみに俺は五回目だ」
何回目? それは……多々良を見ると首を横にふる。何を言っているのか分からないという事。
「お泊り会の回数の事かしら?」
「ちげーよ! 回数っつたら……もしかしてお前ら知らねぇのか? それとも、一回も?」
「一人で納得しいなや! さくらちゃん、何が言ういたいん? はっきりいいや!」
さくらは吸っている煙草を指で摘まむように持つ。そして大きく口を開けて。舌をべろんと出した。
ジュウウウウウ!
自分の舌で煙草の火を消す。舌には無数の火傷跡。
完全に火を消した煙草の吸殻をポイと捨てた。
「二人とも処女って事か、おもしれぇ! 是非とも、”お泊り会で御一緒したいぜぇ” 俺は処女の死体を抱くのが最高に、三度の飯よりも堪らなく好きで好きでぇ……やべぇ、濡れた」
そう言ってスカートに染みを作るさくらを見て、さすがの多々良も引いていた。
ど変態である多々良に引かれるセンスを持つさくら。
「ほんと、次から次にろくでなしばっかりでてきて、ここは何? 動物園でも開きたいのかしら? 多々良?」
多々良が震えている。
まぁ、恐怖ではないでしょう。どうせ、ど変態なプレイについて考えている事だろうし、あえて私はそれ以上は話しかけない。
「死んだウチを犯すやと、あのくそ穴。逆にウチが犯しつくして、しゃぶりつくしたるわ! 覚えたで藤堂さくら、”お泊り会”では楽しみにしとき」
そうくだらない情熱を燃やす多々良をおいて私は始業のチャイムが鳴る前に教室に戻った。
ーー
藤堂さくらは、一人で想像だけ既に四回は絶頂を迎えていた。部屋に戻ったら下着を変えないといけない。速足に自分の寮に戻ると扉を開いた。
「只今帰ったよ。みんないい子にしてた? ちょっと俺先着替えるから」
そう言って、下着をしまってあるところから適当な物を取るとそれを履く。そして冷蔵庫を開け、ミネラルウォーターを取り出した。
「お姉様、今日は何の授業を受けたの? 語学の為に教えてくれよ」
ごくごくと水を飲みほし、少し自分の匂いを嗅いでからこう言った。
「ともみ、シャワー入るけど一緒に入る? 一人で入れって? 全くつれないな。最初に入った時は喜んで下からドバドバ女の子の汁流してたくせに、まぁいいや。俺が上がったら食事にしよう。今日はレナの好きな冷やし中華だぜ」
寮のシャワーでさくらは身体を洗い清める。ボディソープは肌には合わなかったので、自作したナチュラル石鹸を使っている。それを三つ、身体を洗う用。顔を洗う用。そして髪を洗う用。
「この石鹸、お姉さまと同じ香りがして、本当に良い物だなぁ……えぇ? 独り言を言いながらシャワーを浴びるのがキモいって? 言っとけよ! シャワーから上がったら腰がガクガク言うくらい。天国見せてやっからよぉ!」
んー! んーー! んーー!
と声が聞こえる。もう一つの石鹸で顔を洗うとさくらは、そこ声の主の事を思いだした。
「そうそう、今日は皆に新しい友達っていうか、妹連れてきたんだぜ。嬉しいだろ? 綺麗な小麦色の肌に透き通った黒い眼。サニーって言うらしいから、凄い恥ずかしがり屋さんだけど、仲良くしてやってくれよな」
シャワーのお湯を止めるとさくらは自分の水気を取っていく。タオルに顔を埋めて、美少女ならではの微笑みを見せて、声の主の元へやってきた。
「サニー、今から俺の家族になる儀式。はじめよっか?」
そう言ってサニーの口を塞いでいた布を取る。
「いや、何ここ……こんなの変だよ!」
「変? 何にも変な事ないだろう? そっかそっか、まだみんなの紹介まだやったな! まずはこの部屋の主人。俺のお姉様だ!」
サニーはさくらが指さす人物を見て気絶しそうになった。首、胴体、四肢が全部別人で繋ぎ合わせてある。そして凄い匂いがする。薬品で腐らないようにしめてあるんだろう。
「そして、俺の大親友。ともみ」
「ひぃいい!」
二人の別々の少女を真っ二つに切って、繋ぎ合わせてある。それを行ったのは、その辺に無造作に転がっているガスチェーンソーだろう。
異常。そしてそれ以上に異常なのは……
「そーれーとぉ。俺の今の恋人。レナ」
さくらは恥ずかしそうに頬を染めて紹介してくれる。
その姿を見てサニーは泡を吹いた。サニーが見た者は人間ではない何か、お姉様とともみですら非人道的な行いの結果だが……レナは……人間の狂気。ここに極まれりと言ったものだった。
体中にさくらの性欲を満たす為に開いた穴が無数に……
「なんだ? ここにくるとみんな嬉しすぎてすぐに失神しちゃうんだよなぁ~、お姉様とともみとレナから作った石鹸かしてあげようと思ったのに、じゃあサニーは俺達の妹だから、どうしようかな、とりあえず愛し合おうか?」
そう言ってさくらはサニーに跨るとサニーの中に自分の手を入れた。かきまわしていると、サニーの気がつく。
「お願い助けて、お願い!」
「うん。大丈夫。俺が助けてやるから大丈夫」
「殺さないでお願い、お願いします!」
出刃包丁を掲げてさくらは困ったような顔をサニーにみせた。
「ちょっと、何言ってるの? 助けてあげるには殺すしかないじゃない? それに俺、生きている人間に興奮しねーのよ。サニーも死ぬとメスガキの汚い物が抜けて、綺麗になれるぜ。そうなれば俺と一日愛し合おう。そうだな。サニーは綺麗な肌をしているから、目玉を別の物に変えてみるか? どう! 俺のこの提案冴えてない?」
ザク。
サニーに突き立てる包丁。それにサニーは悲鳴を上げる。そんなサニーにさくらは優しい顔を見せた。
「泣かないで、痛いの痛いのとんでけぇー!」
ザク!
再び包丁が刺さる。何度も何度もさくらは魔法の呪文。いたいのいたいの飛んで行けを繰り返し、六回目。
「おぉ……おぉおおお! 可愛い。サニー可愛いよ!」
もう既にこと切れているサニーの光を失った瞳を見て、涎といろんな物を垂れ流し、さくらは興奮の絶頂を迎える。
「小鳥と多々良を同じ事してぇ」
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