第3話 こんな夜はデキシーで貴女とダンスを
三人目の少女の命が消えた。
しかし、強制的首つりだなんてクールな処刑。テロリストでも今日び行わない変態趣向だ・・・・・・いや、私を飼っていた連中はリアル火炙りで人間を処刑していたか、いずれにしてもあと二人。
気が気でないという風の美保。そして白人の少女。背の高い少女はチック症状が現れ、みるからに生傷の多い少女はただただ泣きじゃくる。
それにしてもあかり。
この少女は異常と言えるな。この状況で自分が死ぬという事を恐怖していない・・・・・・いや、鼻から死ぬと思っていないのか? 確かに身体能力はここにいる中でずば抜けて高い。
オクラホマミキサーは無情にも鳴り響く。
「もうヤダぁああ! お母さん、助けて! おかああぁさあん!」
白人の少女は心折れ、その場にうずくまり泣き喚く。周囲の少女達に安堵が広がる、次に死ぬのはこの子だと・・・・・・もちろんそうはさせない。
「美保ちゃん、左前に走って」
私の指示に従う美保。美保は走り、美保の向かうところに進もうとした身長の高い少女に私は言った。
「ホワイトボードの
私の指示を聞いて、この少女は満面の笑みで頷いた。
「ありがとう!」
「どういたしまして」
私は泣き、うずくまる白人の少女の元へ向かい。彼女を諭す。
「涙を拭いて、椅子に座るのよ」
「もう、いやぁ・・・・・・もうだめ・・・・・・んっ?えっ?」
私はこの少女に口づけをする私と少女は粘膜の糸で繋がれる。服の中に手を忍ばせ、死という恐怖を私は書き換えてあげた。理解できないでいる少女にもう一度口づけ。
「私の言うことが聞けたらご褒美をあげるわ。生きなさい。扉のあたりまで走って! いいわね?」
「うん、私アリサ・・・・・・」
「アリサ良い子ね。私は小鳥。生き残りましょう」
私は目星をつけていた椅子を狙い、アリサと美保も私の指示通り着席できたようだ。あかりはとりあえず放っておいても大丈夫。傷だらけの少女も椅子をなんとか座り・・・・・・
「ちょっとぉおお! 騙したわね! ホワイトボードのところに椅子なんて」
だました? 私が? 椅子に座り、両手を行儀よく膝に起きながら私はこの名も知らない少女に教えてあげる。
「私は、ちゃんと言ったわよ」
「は? 何言ってるのよ! ホワイトボードの前に行きなさいって」
「ううん、そんな事言ってない」
「嘘つかないでよ! 言ったわよ。貴女」
ほんと、子供って馬鹿だな。愚かの極みと言ってもいいかもしれないわ。私が言ったのは・・・・・・
「私が言ったのは、ホワイトボードの前で逝きなさい。って言ったのよ」
嗚呼、意味わからないか・・・・・・まぁどうせもう死ぬんだから関係ないか。何度も何度も泣き喚きながら私を嘘つきと罵り、その少女は天に召されて行った。椅子は再び床に収納される。
再びあの間抜けな音が流れる。椅子が出現する場所は大体音で判断ができる。アリサを確実に守り、続いて美保・・・・・・ロジックは出来上がった。
椅子が出現する瞬間、私はアリサに指示。
「アリサちゃん。そのまま左に、美保ちゃんはホワイトボードに」
「はい!」
「うん」
私の指示を聞き、アリサか美保の椅子を狙おうとするだろう。
それ故に生傷の多い少女は私が直接手を下す。それでゲームセット・・・・・・えっ?
頭のガンという音が響く一瞬意識が飛ぶ。
「・・・・・・なんで?」
やられた・・・・・・あかりはジョーカーだった。隠し持っていたスパナか何かで思いっきり私を殴打した。薄れゆく意識の中、耳元であかりはこう囁いた。
「小鳥ちゃん、王子様は二人はいらないんだ。あの虐められていた時の君の方が私のタイプだったよ。さようなら、君のお気に入りは私が可愛がってあげる」
美保とアリサの声が何かを叫んでいる声が聞こえる。そして、私の意識が完全になくなる瞬間、あかりは一芝居打った。
「そんな、小鳥ちゃん。私を救う為に・・・・・・ごめん。君の分まで私、生きるから」
どんなチープでバタ臭い作り話をアリサや美保にするのやら、まぁそれを信じるのが馬鹿な子供なわけなのだが・・・・・・私の身体がゆっくりと浮かび上がる。
意識が飛んでいる間に死ねるならまぁ楽でいいか、死ぬもこれが初めてというわけでもないし、実に貴重な経験だった。もう少し無垢な少女達を抱きたかったなぁ・・・・・・
天国という場所は何処にあるか知っているか?
私は知ってる。それはドラックかセックスをしている最中の高揚感の中にある。
しっかしヤキが回った。戦場を駆ける形を持った性暴力の私が、誰かに油断して死ぬなんて、そんなまどろみの中にいる私。
これは夢だろう。
夢を見るという事は、私は生きている。生きて? どうやって生きれた? 訓練もされていない小鳥の身体はあんな金属の縄で吊されればひとたまりもないはずだ。
「・・・・・・っ!」
目が覚めた。なぜ私は生きている。というか何分私は気を失っていた。というかここは・・・・・・
「椅子」
私は椅子に座っている。そしてすすり泣く声。この声はアリサだ。ポタりと私の額に何かしずくが落ちる。その雫は何か? 上を見上げて私は驚愕した。
「美保ちゃん、何やってるの・・・・・・」
私がそう聞いても美保は答えない。もう彼女の魂はそこにはないのだ。美保だった物体はだらだらと体液を流し、苦しんで死んだのだろう。
「美保さん、席を立ったんです」
アリサが泣きながら話す。
「どういう事、続けて」
「小鳥さんが首つりになった時、美保さんは席をたって小鳥さんの所に走ったの。すると小鳥さんが降りてきて、それを見た美保さんは小鳥さんを自分が座っていた席まで運んだんです。小鳥さんに、伝えて欲しいって、最期に。大好き。守ってくれてありがとうって」
「そんな・・・・・・」
そんな・・・・・・そんな・・・・・・思い通りになることってある?
ふふっ、やった! 私が生き残るフラグが成功してた。美保を失ったのは少しばかり悲しいけど。予想通りの馬鹿な事をして私の命を救ってくれた。
今なら私を犯し遊び尽くしたあのテロリスト達の気持ちが分かるわ。なんて面白いの。自分の思い通りに動く馬鹿な子羊達。
そして私はこう言うのだ。
「美保ちゃん、こんなの・・・・・・全然嬉しくないよっ!」
私は泣いて見せた。嗚呼、この演技はこの身体でも出来るのか、昔は犯される度に悶え喜ぶ事を好む馬鹿と、泣き叫び嫌がる事を好む馬鹿のどちらかだった。
私の演技はハリウッド女優が泣いて逃げ出す程度にはリアルだろう。
そして、この状況で怯える少女が一人。
恐ろしい者を見るように私を見つめる王子様。
「あかりちゃん、あとでお話しよ」
「ひっ・・・・・・」
もう少しだけ、成長してからって思ったけど、私に一発くれたのは少々おいたがすぎたわね。まぁ、苦痛も快感も私と出会えた事を泣いて懇願し上も下も濡らして媚びる駄犬になれるのだ。あかりにとっても悪い話じゃない。
アリサとあかり、そして生傷の多い少女。
本来、最終ゲームで殺すつもりだったけど、運良く生き残ったわけか。見るからに幸の薄そうな子だ。
まぁ、美保の代わりにこういう子を教育するのも悪くないかもしれないな。
私達が椅子に座ったままどれだけたった事だろうか?
再びあの放送が流れた。
”ぴーんぽーんぱーんぽーん! おめでとう、今回のお泊まり会の勝者は、天童あかりちゃん! 小鳥・チェリッシュ・イレブンちゃん。アリサ・セリュー・アレクサンダーちゃん。立川のぞむちゃんの四人だね! 四人にはお小遣いが贈呈されます。明日の朝が楽しみだね! じゃあ、首輪が外れるので、お休み前に勝者のフォークダンスを踊ろうね! 踊らないと、死んじゃうからね?」
だーっはっはっは! 最高のギャグだな。ヘロインとコカインのドラッグカクテルをキメた時のあの最高にハイでダウナーな気分だ。
五人の少女の死体が吊されたこの教室で、お嬢さん。踊りましょうってか?
ナーサリーライムが気絶しそうな筋書きだ。
勝者達を讃えるつもりか? ディキシーが流れる。
「She had left me and I needed just anyone~」
実に歌詞がよくあってる。このくそゲーの元締めを殺したいくらいに。
そんな歌を口ずさむ私は、アリサの前でお辞儀をすると手を差し出した。
「小鳥さん」
「いいから、踊らないと殺されるかもしれない」
「私、ダンスなんて」
「大丈夫、私がリードしてあげる」
アリサはダンス一つできない事に少々驚いた。少し離れたところでは、あかりとのぞむもチープなダンスを踊っている。
壁の花の方がまだマシな吊された少女達。黄色い猿達の国・ジャップのフラワーアレンジメントでは空生けという手法だったか? 全くCIAの犬だった時の知識は暇を潰す事は今もなお一役かってくれるものだ。
シュー!
部屋全体をハロタンのようなガスが包む。異常なくらい速攻性のあるこのガスに狂ったように踊る私達はすぐに意識を失った。
そしてすぐに覚醒。
「小鳥様、小鳥様ぁ?」
私の目の前にはフランチェスカ、私のバター犬。そして手元にはパンとスクランブルエッグにまだ湯気を立てているホットミルク。
「フラン、答えなさい。いつから私はここにいて、気を失っていたのかしら?」
それに紅潮させながら駄犬は語った。昨晩、私は私が眠くなるまで、この駄犬をいたぶり、愉しんでいたと・・・・・・あの椅子取りゲームは悪い夢でした。
とでも言いたいのかしら?
「フラン、本当の事を言いなさい。じゃなきゃ、捨てるわよ」
駄犬は目をハートにして息を荒げる。私は嘘をつかないように仕込んだつもりだ。そのフランが私と濃厚な一夜を共にしたと語る。
嘘をついているようにも思えない。だけど、あの椅子取りゲームは実際に行われた。
なぜなら、私の首は頭はまだ少し痛いのだ。
駄犬の作る料理にしてはそれなりに食べられるそれを完食すると私は駄犬にこう言った。
「登校まで時間があるわ。裸になってベットで待ってなさい。昨晩よりも、もっと地獄と天国を味あわせてあげる」
あまりのうれしさに失禁する駄犬フランチェスカ、本当に彼女の今の姿を毎日撮影して、厳格な両親とやらにビデオレターとして届けてやりたい。
この姿をみたら、両親の精神は月まで吹っ飛んで廃人にでもなるんじゃないだろうか・・・・・・私にそっち方面の性癖があればあるいは行ったかもしれないけど、興味ないわ。
「これなにかしら」
不自然に置かれた分厚い封筒。その中を見ると、鬼百合勝者のお小遣いというメモと共に、車が一台買えるくらいの金額が納められていた。
「成る程、これがお小遣いね。最高じゃない、鬼百合。雑草のように強靱な花だったかしら?」
生き残った少女達を意味しているのか・・・・・・それとも・・・・・・まぁ、今は生と性を愉しみましょう。
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