お泊まり会〜縦笛を咥えた悪魔達〜

第2話 てるてる坊主、てる坊主。明日天気にしておくれ

「みなぁ~さん。おはよぉございます!」


 うほっ、いい女。24歳。ゆかり先生。是非ともベットで授業をして欲しい物だ。 

 私、ジェリアこと。

 第二の人生を始めた小鳥はこの聖リーパー女学院の小等部に収容されているわけだ。

 病院側は私に栄養のある物を食べさせ、学校に行けるように心を込めて看病をしてくれたよ。なんでも仕事で忙しい両親が私の治療に関してお金に糸目をつけなかったらしい。


 ご苦労な事だ。


 寮生活の聖リーパー女学院は小等部高学年と高等部、中等部同士で所謂、疑似姉妹として、年上の学生は、妹である小等部の学生の指導や教育、そして年上としての振る舞いを教えるのだが・・・・・・

 ゆかり先生のいい身体をもう少し眺めていたかったが、ホームルームが終わり一端退席する。

 それを狙ってやってくるのは雌の臭いをまき散らした私の犬。


「小鳥ちゃん!」


 高等部、人気ナンバー10入りを果たしている西野フランチェスカ。まぁ、私の性奴隷である。

 出会った初日で自分のあり方。なんの為に生きているのかを嫌という程教えてやった。


「小鳥ちゃん、小鳥ちゃんのお姉様が呼んでいるわよ」


 お姉様・・・・・・ねぇ、鼻で笑う。そうだな。身体だけはいっちょまえにお姉様か、私のクラスメイトにして、勝手に親友を名乗り出る。かりんちゃん。

 実に初々しい、まぁあと何年かすれば一番最初に愛してあげよう。


「まぁ、お姉様ったら・・・・・・教室まで来るなんて恥ずかしいわ」


 ははははは、なんだこの言葉遣い、そういえば私も前世であの事件に巻き込まれなければこんな風に過ごしていたのかな。

 校舎裏、清く正しい女生徒達が絡み、まぐわう事が許されるそんな場所で、私は階段に腰掛ける。


「小鳥ちゃ・・・・・・様ぁ。我慢できません・・・・・・フランに、罰をお与えくださぁい」

「は? アンタが求めたら罰じゃなくて飴じゃない。嫌よ。そんな事より、この学校転校多くない? 登校して一週間。私のクラスだけでも3人いなくなって、2人入ってきたわ」


 私が靴を脱いでこの雌犬の前に出すと、雌犬は口で靴下を脱がし。私の足を舐め始める。5つも6つも年下の幼女に求めるなんてとんだ変態に育った事だ。

 どこぞの良家の娘らしいフラン。最初は優しいお姉さんとして私に接してきたが、お得意の学力で、知識で私にマウントを取られ、そこからはプライドをズタズタにするのは簡単だった。

 傷心の彼女に後は快楽を与えてやればいい。一人目の肉奴隷は、私の情報網の一つでもあった。


 ガッ!


「痛っ」


 私は私の足の指を舐めるフランの口内で足を蹴り上げた。口の中を切ったのだろう。血を流す。そして恍惚の表情で私に言うのだ。


「ありがとうございます」

「どういたしまして、駄犬。で? 私の質問の答えは?」

「・・・・・・それは、”お泊まり会”です」


 嗚呼、あれか。いつもゆかり先生が終わりの会の時にランダムに名前を呼ばれた生徒達は学校に残っていたな。


「お泊まり会って何? 教えなさい」

「お泊まり会は・・・・・・」


 チッ。

 チャイムがなった。私はフランの首元に触れると「続きはまた後でね」とお預けを与える。餌を食べられず、だらだら、だらだら涎を垂らす汚い犬みたいに私と寮で会う時間まで悶え苦しむのだろう。

 この小等部での生活は悪くない。勉強も運動も新鮮だ。心から楽しんでいる私がいた。そして全く興味がないロリ達も、数年経てば食べ頃の果実に育つのだ。だから、私が美味しく育つように彼女達を育てる。


「美保、貴女のせいでリレーに負けてしまったじゃない! 貴女もう少し痩せたらどうかしら?」

「・・・・・・ごめん。ごめんなさい」


 そして、この無邪気の園と思える子供達の社会は、反吐が出るようなカースト制度が存在する。


「優花ちゃん、それは少し酷くない?」

「小鳥さんには関係ないでしょ?」

「ううん、関係あるよ。私は美保ちゃんも優花ちゃんも大好きだから、二人がそんな風なのは嫌かな」


 あーっはっはっは。私が、この私がこう言う。ガキ共は愚かで、そして馬鹿で・・・・・・面白い。

 今ならあのテロリスト共が私をドラッグとセックス漬けにした意味が分る。子供は真っ白なキャンパスなのだ。そこに描いてやれば思い通りになる。

 私は、その白いキャンパスを黒と赤で塗り潰され続けた。


「美保、言い過ぎたわ。ごめんなさい」

「ううん、私もダイエット頑張るね」

「美保ちゃん、ダイエットをするより、寝る時間を二時間早めてみたらどうかな? それだけでも全然違うよ」


 そして二人は私に抱きつく。しかし、子供は体温が高い。火傷しそうな程に・・・・・・美保は私に抱きつきながらこう言った。


「私、小鳥ちゃんみたいになりたい。可愛くて細くて、綺麗で」


 うん、私がプロデュースしてあげれば私にはなれないけど、私の性奴隷くらいにはなれるよとは口が裂けても言えない。ただ、優しく微笑む。そう、ただ微笑むのだ。

 そんな、咽返るような甘ったるいココアみたいな時間は終わる。放課後はフランを玩具にして眠くなるまで遊ぼうと思っていた私だったが・・・・・・


「じゃあ今日のお泊まり会は、美保ちゃんと小鳥ちゃん。そしてあかりちゃんです」


 ”お泊まり会”は唐突にやってきた。


 他の生徒達が下校していく中で私達はゆかり先生に渡された栄養剤と言う名の錠剤を飲むように言われる。当然私は飲むフリをして吐き出した。


「・・・・・・成る程。それも想定内か」 


 教室内に充満するハロタンか何か、ジュリアとしての訓練された私の身体なら対処出来たかもしれないが、小鳥の身体ではひとたまりもなかった。


「ん、うん?」


 私達三人以外に他にも少女達。合計9人の少女達が椅子に座っている。ご丁寧に首輪がついているのだ。どこの変態性癖の馬鹿が行っている事かは知らないが、これが”お泊まり会”とやらか。で? 何をさせたいのか?

 唐突に放送が流れる。


『今からみんなには、椅子取りゲームをやってもらいます。椅子に座れなかったらてるてる坊主になるから頑張ってね。最終的に椅子は4個になるから、五人の女の子がてるてる坊主になるね』


 意味の分からない事を言う合成音声。そして突然私達の座る椅子が動く。広い教室で全員ランダムの場所に配置されると私達の座っている椅子が地面に吸い込まれるように収納される。なんだこのアトラクション。

 そしてTurkey in the Strawが流れる。私の一番近くにいる美保が呟く。


「オクラホマミキサだ」

「何が始まっているの?」

「多分、音が止まると椅子に座らないといけないんだけど、椅子はないよね」


 嗚呼、そう言う事か。


「美保ちゃん、しっかり周囲を見て。椅子は地面から現れるわ」


 まだ状況を私も掴めていないが、ゲームだというなら勝ち残ろう。くだらない耳障りな音が止まる。


「美保ちゃん。真っ直ぐ走りなさい!」

「えっ?」

「早く」

「うん」


 美保を走らせる。おそらく椅子が出てくる一番近い場所。そして私はその次に近い場所へ。私の指示で椅子が出現するよりも早くその位置にいた美保は一番に椅子に座り。続いて私。そして各々が椅子に座ると、一人。椅子に座れなかった少女が半笑いで立っていた。


「負けちゃった。何これ? 早くお姉様のいる寮に・・・・・・・えっ?」


 少女の足がゆっくりと浮く。


「あっ・・・・・・やっ・・・・・・くるし・・・・・・あぁああああああ!」


 目の前の少女がゆっくりと首つり、処刑されているのだ。確かにこれはてるてる坊主か。続いて心地良いくらいの阿鼻叫喚。少女達は泣き叫ぶ。まだ生きている。助けようと言う少女達。どうやって? この首輪、少し触ったけれど鉄格子が切れるナイフでも多分切り裂けない。

 どこの変態の仕業かは分からないけど、これはそういうゲームなのだ。青い顔をして涎を垂らす首つり少女。それを見て悲鳴を上げている少女達を無視するように、椅子は地面に収納。再びTurkey in the Straw、美保的にはホクラホマミキサーが間抜けに流れ始める。

要するにあと四回回避するまで最悪このクソゲームは続く。


「小鳥ちゃん、怖いよ・・・・・・」

「美保ちゃん、怖がったら。この戦場負けよ」

「えっ?」

「次はここでじっとしてなさい」


 私は走った。それについてくる他の少女達。一番遠い椅子に向かって、美保は恐怖する。自分は捨てられたのだという。それに続こうとする美保に私は叫んだ。


「生き残りたいなら、そこにいなさい美保っ! 私を信じて」


 美保は保険。私が生き残る為に最後まで残しておくそんな保険。何故? この少女達の中で私の序列は、一緒にここに運ばれてきたあかり。この子は綺麗になる。泣き叫ぶ少女達の中で、私以外で冷静でいるのはこの子。いますぐ味見がしたい。こんな子を泣かしてみたい。そして、第二位は名前も知らない別のクラスの白人の少女。この子のポテンシャルはもうすでに来年くらいには食べ頃かもしれない事。

 そして、最後に助けられるなら、美保。

 貴女ね。私の快楽を享受できるように、せいぜい生き残りなさい。

 私は椅子に座り、失意だった美保は自分のいた場所に再び椅子が出現した事で私に羨望の眼差しを向ける。

 そしてまた一人、椅子に座れなかった少女。先ほどのあれを見たのだ。失禁し、涙を流しながら私達に手を伸ばす。


「お願い助けて、お願いします・・・・・・うぁああああああ」


 先ほどと違い、一気に引き上げられた。首の骨が折れきらなかったのだ。これは痛い。痛さで意識が飛ばない。最悪の死に方だ。愛らしい少女の顔とは思えない、この世の物ではないモンスターのような形相で死に絶える。

 私が地雷で死んだ日。

 この光景を見ると、あの死に方は実に美しくいい死に方だったのだな。さて、次はどうするか? あと三人。確率を考えると、あかりと、白人の子を生かす為には美保の切り捨てが必要な状況が生まれてくる。再び椅子が地面に落ち、流れるTurkey in the Straw。もといオクラホマミキサ。


「小鳥・・・・・・さん」

「あかりちゃん。どうしたの?」

「君凄いんだね。こんな状況で、美保ちゃんを守りながら」

「そんな事ないわ。もう足がガクガクよ」


 そんな私を見て、あかりは少し顔を赤くしてからこう言った。短髪の少女。嗚呼、確かこの子は、かっこいいとかで中等部あたりの女子からも人気があったな。私からすれば、美人になる要素しか感じられない。


「君の事は私が守る。もし、君か私かで椅子の取り合いになった時は君に・・・・・・」


 私はあかりの唇に指を当てた。そして恥じらう少女の顔で言う。


「一緒に、生き残ろう。美保ちゃんも・・・・・・」


 少しだけ物足りなさそうな顔であかりは頷く。


「・・・・・・うん」

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