第6話 武装とペットフード
遺跡を通して現実世界に戻った俺は足早に倉庫を漁ることに、倉庫の中にはありとあらゆる物が眠っている。
今回探すのは武装に必要な物とペットフードだ。
さすがにペットフードはないと思っていたら、ペットコーナーという所があり、そこにはあらゆる動物の食べ物が置いてあった。
「これだよこれ、えーと犬と猫とオウムと」
ペットフードを確保した俺は、次に武装するものを探す。
この前見つけた拳銃とかを見たが、さすがに危険なのでまだ保留にしておく。
「お、これ防弾チョッキじゃないか」
それは特殊部隊が使う防弾チョッキだった。
なぜに特殊部隊専用の防弾チョッキがこんな所にあるのか謎で仕方がなかったが。
装着してみると、ちゃんと体にはまった。
「武器となるものは何かないかなーうーん、お、なんだこれ」
それは弓の形にもなるし剣の形にもなった。
こんな物騒な物が家にあったら、銃刀法違反で捕まりそうなものだと恐ろしくなった。
手に握ってみるととても軽く、剣の刃の部分で地面を指してみると豆腐のように切れた。
昔弓道を習っていたので、弓の扱いには慣れているが、恐ろしく使いやすい。
試しに弓に矢を番え、放つと、壁に突き刺さる。
威力が凄いのか衝撃波として壁を粉砕していた。
「やべ」
と少し慌てつつも。
矢が消滅して、矢筒に戻っていた。
「うお、すげー魔法の武器だ。これ絶対異世界から持ってきた奴だ」
ドキドキしながら俺はそれを武器として使う事にした。
膝や肘などのプロテクターも準備して、体のあちこちを完全防具にした。
「よーし、戻るか」
倉庫の中の倉庫のドアノブに触れると異世界に辿り着いた。
そこではいつものごとく、忠犬のジローが待っていた。
なぜか猫のキャニーとオウムのオージまでやってくる。
「凄くいい匂いがします」
「お腹が空いたの」
「空を飛ぶのは苦労そのものじゃて」
俺はにこりと頷き、3匹の仲間達にペットフードを差し上げた。
異変は唐突に起きた。
3匹の体が光だす。
まるでゲームで出てくる進化そのものだった。
体が光っているのに無我夢中でペットフードを食べている。
よくわからないが、さらにおかわりを求められていると感じたので、渡すことに。
あっという間に全てのペットフードを平らげた3匹の光は爆発するようになり。
犬のジローは巨大な狼みたいに変身していた。
ニホンオオカミの3倍程の大きさで、俺が乗る事も出来そうだ。
猫のキャニーは巨大な虎のように変身していた。
まるでライガーのようなたたずまいに勘当した。
オウムのオージは巨大な鳥そのものになっており、頭から雷が迸っていた。
まるで幻想上のサンダーバードのようだった。
「す、凄い、体が成長しました」
「逞しくなった気がします」
「うむ、体から雷が出るぞ」
ジローとキャニーとオウムは戸惑いを隠せないようだ。
これからペットフードを沢山食べさせようと決意する俺。
なぜならまた進化するかもしれないからだ。
3匹はじゃれ合いながら草原の方角に走っていった。
次に向かった先はルブフ執事とリュテル姫の所だった。
ルブフさんは何か暇そうに外のベンチに座って考えている。
リュテルさんは家の中で料理を作っているようだ。
「おお、これはアダン殿ではないか」
「はい、冒険に出る準備は出来ましたよ」
「そうでしたか、その武装は凄い、その剣と弓、どこかで、ああああ、それはかつて旅商人だった師匠夫婦の武器ではないですか」
「ルブフさんの師匠?」
「はい、2人は突如現れて、わしに商売のいろはを教えてくれました。突然またいなくなりましたが」
「そうでしたか、恐らく、俺の両親です」
「なんと! 師匠達は生きているのですか?」
「現実世界で死にました、ですがこんな凄い事をしていたのだから、生きているかもしれません、死体は見つかってないみたいですし」
「ほほう、恐らく生きておられますな、いつかお会いしたいです」
少し複雑な気持ちになりつつも、両親が生きていたらどのように話せばいいのだろうかと。飛行機事故だから、死体も何も残らなかったが。
「最初にエルフの村に行きたいと思います。そこで何が必用とされているか見極めたいのです。この村の建築もありますから、あまり時間はとれません、どのくらいの距離にあるのですか?」
「そうじゃのう、エルフの森はここから3日程歩いた場所じゃ、星の位置と川の位置で推測できるな、川を上ればおのずと辿り着くだろう」
「そうしますか、それではリュテルさんの料理を食べたら向かいましょう」
「ぜひとも」
「それなら僕もいくよ、キャニーは偵察で忙しいし、オージは次の来訪者探しに忙しい、僕はアダンの忠犬だからね」
突如と現れたハイイロオオカミそれはジローだった。
あの後さらに体が成長したのか大きくなっている。
「なぬ、お主ジロー殿か」
ルブフさんがベンチから立ち上がって剣に手を当てる。
「そうだよ、ルブフおじいちゃん」
「うむ、成長したのう」
「いやそれで片づけないでくださいよ」
思わず突っ込んでしまい。
「ご飯できましたわ、ってアダンさんとジロー? でかくなりましたね」
「皆この世界では犬はどんな基準なんだよ」
俺の悲しい突っ込みは普通にスルーされた。
その後リュテル姫の料理を食べた。
この世界の料理は食べた事がないが、そこらへんにある野草や木の実を上手く調合しているようだ。
「とても美味しい」
「嬉しいです」
なぜかリュテル姫がとても元気になってくれた。
「そうだ。次は調味料とかも持ってこよう」
「調味料があるんですか?」
「ああ、倉庫に沢山あったはず」
「ぜひ欲しいです」
「うんうん、持ってくるよ、お腹も膨れた事だし、3日間の旅にでようルブフ、それにジロー」
「うむ」
「ワン」
「リュテル姫はスライジさんに守ってもらってください、スライジさんは錬金術師でとても強いです。ゴブリン達にも守ってもらえるはずですし、何よりライガーになったキャニーとサンダーバードになったオージが守ってくれます」
「守られてばかりで申し訳ありません」
リュテル姫が頭を下げる。
「良いんです。料理を作れるのはあなただけですから、大切な存在です」
「そ、そんな大切ななどと」
リュテル姫の顔が真っ赤に染まりつつ。
「では行きましょう」
その後、ゴブリン達にオージを介して説明をして、スライジさんに事情説明をする。
スライジさんは相変わらず研究に没頭しており、キャニーにはなるべくリュテル姫の護衛を頼んだ。
弓と剣の形になる【アーチャーソード】を装備して、防弾チョッキに体のあちこにちプロテクターを装備した。
ルブフ執事は腰に剣を携え、昨日まで疫病にかかっていたとは思えない軽やかな足取りで歩く。
巨大なハイイロオオカミになったジローの背中を撫でながら。
3人はエルフの森に向かって旅立つ事になった。
まだまだ村を建ててく必要があるが、先にこの世界の事について学んでおく事も重要だと俺なりに考えた事だった。
雑草が生い茂り、木々が鬱蒼と生えて、見た事もない虫や動物がいて、またゴブリンに出会わないかと恐ろしくなりつつも、一応リュックサックに大量の団子を備蓄してある。
「アダン殿はこの世界が初めてかもしれませんが、ここは禁じられた土地または危険すぎる土地です。普通ならアダン殿のようなただのおっさんでは生きてはいけませんよ」
「それは承知しています」
「ですが、あなたは師匠達の息子、きっと心に力を秘めているお方。わしはリュテル姫の次にあなたに忠誠を誓う事を誓いましょう」
「それはやめてください」
「いやはや、アダン殿の両親にも同じことを言われもうした。ではそろそろ危険地域なので気配を消しましょう」
「はい」
俺とルブフ執事とジローは呼吸を整えて闇の中に潜った。
俺ンちの倉庫異世界~村から街から国へ至る建国しつつ村人達強すぎなんですが!!~ MIZAWA @MIZAWA
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