第4話 簡易住宅建ててレベルアップ

 俺が異世界に戻って最初にやった事は電自動チェーンソーで村の周りの木々を両断する事だった。

 のちのち建物や施設を建てていくので邪魔になってくるからだ。


 後、家こと簡易住宅を建てる為の素材にする為でもある。

 ストラテジーゲームでの基本は住民の住宅施設だ。

 その後に娯楽やお店を増やしていけばいい。

 

 問題は住民がゴブリン10体と動物3体と言う所だ。

 オウムのオージが空を飛んで、きっと住民を増やしてくれるだろう。

 

 電自動チェーンソーで無双していると。


【伐採レベル1→2になりました】

【伐採レベル2→3になりました】


 木々を両断して10本目に到達した頃には。


【伐採レベル9→10になりました】


 という感じで簡単にカンストを迎えてしまった。

 その時には電自動チェーンソーがかするだけで、木々を両断してしまっていた。


「スキルの効果は恐ろしいな」


 独り言のように俺は呟いた。

 大地の木々が集まると、運びやすい大きさに分けて運ぶ事に。


【運搬レベル1→2になりました】

 

 最初はゆっくりとせっせと運んでいた。

 それもそうだろう組み立てる為に分割して両断したとしても、木は木で重たいのだ。


【運搬レベル4→5になりました】


 このくらいのレベルになってくると、右腕と左腕を使って同時に運ばれるようになってくる。


【運搬レベル9→10になりました】


 このレベルになると右手と左手だけでひょいひょいと運べるようになっていく。

 もはや怪力そのものだった。


 ゴブリン達が住まうポイントに木材を運び終えると。

 失敗してもいいように沢山用意した。

 工具なども持ってきているので、それでインターネットでメモした情報を参考に彫り進める。

 

 木材と木材を上手くはまるようにパズルのように作っていく。

 これがとても難しく何度も失敗する。


【工作レベル1→2になりました】


 無我夢中で何回も失敗を繰り返す。


【工作レベル4→5になりました】


 この頃になると、インターネットで得た情報が頭の中に鮮明に映り込み、どのように彫り進めればどのような形になるかイメージがついた。


【工作レベル9→10になりました】


 これもカンストを迎える。

 尋常じゃないスピードで彫る事が出来る。

 あっという間に10軒のゴブリン簡易住宅が完成した。

 一応トイレも設置したし、問題はトイレの衛生面だ。

 それはおいおい解決しておくとして、今は奥深くに彫った穴に埋めていく作戦でいく。

 満杯になる前に解決案を探さないといけない。


 ゲームとかであったスライムがいればいいのだが、スライムを見つける事が難しそうだ。


 ゴブリン達は自分達の為にある簡易住宅が信じられないようで、感激してくれていた。

 それはオージが翻訳してくれたから良かった。


「ついに見つけました。女性がこちらに来ていますぞ」


 オウムのオージが空高く叫んでいた。

 俺はようやく話せる人が来たのだとわくわくして村の入り口に向かった。

 だがそこにいたのはべとべとした女性の形のスライム人間だった。


 そいつはこちらにゆっくりとゆっくりと近づき。


「た、助けてください」


 とてつもなく可愛らしい声で言った。


「一体どうしたんですか?」


 僕は取り合えず簡易的に作った椅子の所まで案内して、その女性のべとべとと対面に座った。

 その女性の後ろからはおびただしい量の可愛らしいスライムが付き従っていた。


「ああ、この子達はぼくを助けてくれたんです」


 まさかのぼくっ子とは思わず驚く、

 あれはゲームやアニメだけの存在だと思っていたからだ。


「ぼくはとある国で錬金術師をしていました」

「そうですか」


「そこでスライムと融合してしまって、国から追放されてしまったのです」

「そらはつらい」


「ここは危険地帯と呼ばれていて誰もこないんです人間は」

「それは一大事だ!」


「でもぼくのように訳アリの人が結構彷徨ってますよ」

「それはぜひとも見つけたいです」


「あなたはここで何をしているのですか?」

「ああ、俺はここで村を造ってる。まぁ異世界から着た人間だと言えば分かるかな」


「なんですって、あなたが異世界から、って、ゴブリンだし! 普通に畑仕事してる!」

「ああ、すみません、あれは俺の友達みたいなもので」


「ゴブリンと友達?」

「そんな力のようなものです」


「そうなのだワン」

「犬がしゃべったあああ」


 スライムの女性は驚きを隠せない。


「アダンの団子を食べたら普通に言葉が通じたぞ、前から話せたけどな」

 

 犬のジローがすらっとそう言う。


「団子?」


「ああ、俺は異世界と行ったり来たり出来て、そこで売ってる団子を持ってきただけなんだ」

「凄い興味深いです。そうだぼくここに住ませてください、貢献しますよ、そうだなートイレならスライム達が消化してくれますよ」


「凄い、それは凄く助かる」

「あとぼく、錬金術詳しいから色々と薬とか作れますよ」


「それも助かる。俺の世界の薬もってくるからこちらではどのような効能になるか調べて欲しい、俺の世界の物はこちらの世界では違った作用を及ぼす場合があるみたいなな」

「へぇーとても面白そうです」


「俺はアダン、君は?」

「ぼくはスライジ、24歳の女性で、スライムみたいな名前をつけられたからスライムの研究してました」


「歓迎するよ、そうだ、スライジさんの家も作ろうか」

「悪いですよ、どうせスライム女ですから」


「何を言いますか、24歳の女性を外で寝かせたとあっては男の恥です」

「はい、有難うございます」


 俺は心の中でこの女性が凄くいい人だと思い始めていた。

 女性に対しての耐性があまりないというのもあったかもしれないが。

 見た目はスライムの化け物な訳で、声だけは透き通っていて可愛らしかった。


 スライジさんはスライム達にテキパキと指示をしている。

 どうやらゴブリンのトイレの中に住まわせてくれるみたいだ。


 俺はいつも通りな感じで簡易住宅の少し大きい奴を建造してあげたのだ。

 

 全身が筋肉通になり始める。


【体力レベル1→10になりました】


 一気に体力のレベルがカンストを迎えて、筋肉痛が自然消滅した。

 すぐに立ち上がり、空は闇色に染まり暗くなっていた。


「村の遺跡に戻ると、スライジさん達と簡単な別れを澄まして、犬のジローと猫のキャニーとオウムのオージが悲しそうにしていた」


 豪邸の自宅の倉庫に戻ると、会社に向かうべく移動を始めた。

 仕事場についたら誰も俺の事の存在など気にしない。

 部長は椅子に座って堂々としている。

 俺はいつものようにデータ入力をするべく椅子に座ろうとして止めた。

 適当に辞表と書いて、適当な理由を書いて。部長のカツラの頭に叩きつけた。


「はへ」


 情けない声を上げて部長は椅子から落ちた。


「何をするこの陰キャラめ」

「部長お世話になりました」


「いいのか無職になるとこの時代大変だぞ」

「いえ、無職にはなりません」


「はぁ?」

「もっと金が稼げる仕事を見つけましたので」


「な、なんと、紹介してくれ」

「部長、あなたに死ぬ覚悟はありますか?」


「はへ?」

「だから死ぬ覚悟があるんですか?」


「ど、どうしたというのだ」

「ではさようなら」


 俺は移動を始める。

 やる事は決まった。

 データ入力なんてしてる場合じゃない。

 異世界からこちらに持ってこれるものを見つけ金を儲ける。

 何かいい方法がないか、通販でも始めるか。

 色々と試行錯誤しながら、俺ンちの倉庫の前に辿り着く。


「俺の死ぬ覚悟、出来たぜ、ジロー、キャニー、オージ、それにゴブリン達、それにスライジさん。俺は異世界と現実世界で生きる!」


 覚悟が決まった俺は倉庫にしまわれてあった薬品、つまり市販の風邪薬や胃薬等々をバッグに詰め込んで、倉庫の中の倉庫のノブに触る。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る