第149話 がんばれオーブン
あたしはいま、パパにあげるクッキーを、ママといっしょにつくってる。
きじをつくって、かたでぬいたり、まるめてぺったんってして、たいらにしたり。
ねんどあそびみたいにしていたら、くろいいたのうえがいっぱいになった。
「リン。このいたは、レンジでつかっちゃだめだからね」
ママは、クッキーのきじをのせるたびにってくらいなんかいも、そういう。
だけど、クッキーのきじがいっぱいのくろいいたを、ママはレンジにいれちゃった。
つかっちゃだめっていったの、ママなのにさ。
「ママ。レンジにいれちゃ、だめなんだよ」
「これはいいのよ」
ぷう!
いってること、ぜったいおかしい!
なんだそりゃ!?
なんでこれはいいんだ?
「これはオーブンだから」
むう?
これはレンジじゃん?
もう、なにがなんだかわからない!
「ママ」
「なに? ええっと、おんどは……」
「これ、レンジ」
「ん? それで、じかんは……」
「これ、レンジだよ! ママ!」
おおきなこえでいった。そうしたら、ママが、ふふふってわらった。
「これは、オーブンレンジなのよ」
ん?
どういうこと?
オーブンで、レンジってこと?
「オーブンをつかうときは、くろいいたをつかっていいの」
うーん。わかるような、わからないような。
あたしはレンジだとおもっていたものが、オーブンレンジってやつだったってしって、おどろいた。
オーブンレンジってやつのことをかんがえていたら、ふわわ~ん、って、いいにおいがしてきた。
くんくん。くんくんくん。
バターのかおりと、あまぁいかおり!
「ママ、まだ?」
「もうすこし」
けっきょく、よくわかんない。
わかんないけど、おうえんする。
がんばれ、オーブン。
おいしいクッキー、たのしみにしているね。
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