第150話 ぽんぽんサクサク
あたしのめのまえには、ほかほかのクッキーがやまもり。
ママといっしょにつくったやつ!
「パパのぶんをわけておこうね」
「うん」
おかしをたべるとき、だいたいママとふたりでぜんぶたべちゃう。
のこりものをみたときに、「パパにもあげるか」ってなんとなくのこしてあげることもある。
だけど、ほとんどみんな、「たべちゃえ」ってたべちゃう。
だから、パパのぶんをさきにわけておくの、あたしはさんせいだ。
ママといっしょに、パパにあげるぶんをおさらにわけた。
いちばんかわいくできたハートと、じょうずにできなかったへんてこなまる。
あとは、ふつうにやけた、ほし。
「じゃあ、のこりはいま、たべちゃおうね」
「うん!」
やったぁ!
やっとたべられるぞ!
あたしはるんるんで、クッキーをつかんだ。
ほかほかのクッキーは、ずっとつかんでいると、ゆびがあつくていたくなる。
だから、つかんで、ちょっとみたら、がじってかんだ。
そうしたら、あれれ、あれれれ?
「ぷう!」
「なに? どうしたの? さとうとしお、まちがえた?」
ちがう、そうじゃない!
さとうとしおは、まちがってない!
だけど、なにかがまちがってる!
クッキーなのに、なんだかすごく、しっとりしてるんだもん!
「サクサクしてない」
ぼそぼそとつぶやいたら、ママがわらった。
「やきたてだからね。ちょっとまったら、サクサクになるとおもうよ」
なにそれ、まほう?
あたしはちびちび、しっとりをかんだ。
ママもニコニコ、しっとりをかんでる。
「むぅ……。むぅ!?」
あたしはとっても、びっくりした。
すこしサク、をかんじたんだ。
それからまたすこししたら、もっとサク、をかんじた!
「ママ、サクサクしてきた」
「でしょう?」
ママがニヤニヤわらってる。
あたしはそんなママと、サクサクのクッキーをぽんぽんくちにいれた。
たくさんやいたはずのクッキーは、おいしすぎて、すぐになくなっちゃった。
「ママ、またつくりたい」
「いいよ!」
やったぁ!
また、しっとりサクサク、たべられる!
もう、いまから、つぎのクッキーづくりがたのしみだ!
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