第148話 あれにみえる
あたしはいま、ママといっしょにクッキーをつくってる。
できたらパパにあげるんだ!
いまは、ママがへとへとになるまでがんばって、バターをふわん、ってしたところ。
「それじゃあ、さとういれがかりさん、おねがいします」
「はーい!」
あたしはふわん、としたバターがはいってるボールに、さとうをジャララっていれた。
ママがまた、あわだてきをグルグル。
でも、こんどはすぐにおわった。
「それじゃあ、こなをふるっていれようか」
ボールのうえにあみあみをのせて、そこにこなをドサーッ!
あみあみをフリフリすると、あみあみのしたから、ゆきみたいにこながふってくる。
「わぁ、きれい! ……コホン、コホン」
「そんなちかくでみてるからだよ」
ぷう!
きれいなものは、ちかくでよーくみたくなるんだもん!
こながぜんぶ、さとうバターのうえにふった。
ママはやわらかいヘラをもつと、こなとバターをまぜまぜしはじめた。
「やりたい」
「いいよ」
やったぁ!
あたしはヘラをもって、グルグルー!
「ああ! ダメダメダメ!」
ぷう!
なにがダメなのさ!
「こなをいれたら、さっくりまぜるの。さきにいえばよかったね。ごめんごめん」
むう。
そういうことか。
「こうやってやるんだよ」
ママがゆっくり、おてほんをみせてくれた。
あたしはそれを、まねっこしてみる。
「じょうず、じょうず! これで、きじのかんせいだよ!」
うーん。
おいしいものしかはいってないって、わかってる。
だけどなんだか、あれにみえる。
「どうしたの? リン」
「んー。これ、ねんど」
「あっはっは! たしかに、にてるかもね。いいにおいがするねんどだ!」
いいながら、ママはハートやほしのかたちのかたをだした。
やっぱり――ねんどだ!?
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