第145話 なつは、ヒマだ!


 いまは、なつやすみ。

 だからあたしは、ようちえんにいってない。

 ようちえんにいかないと、おともだちにあえないから、ちょっとさみしい。

 だけど、ねぼうしてもそんなにおこられないし、あついおそとで、あせをダラダラしないでいいから、ちょっとラク。


 あたしはこのまえ、ママにドリルをかってもらった。

 しょうがくせいになるまえの、じゅんびができるってドリル!

 それを1ページやったら、チョコをひとつもらえるってやくそくをしてる。

 だからあたしは、チョコがたべたいときにドリルをひらく。

 けっこうめんどうくさいし、ときどきむずかしい。

 だから、やってらんない。

 だけど、がんばったあとのチョコはおいしい。


 きょうも、ドリルをやって、チョコをたべた。

 まんぞく、まんぞく。

 だけど、もんだいはっせいだ。

 ドリルのほかに、やることがない!


「ママ、ひま」

「んー? なにかこうさくするとか、おもちゃであそぶとか、したら?」


 そんな、なつやすみじゃなくてもやっているようなことなんて、つまんない。


「そういうのじゃなくてさぁ」

「でも、きょうはでかけるよてい、ないよ?」


 ぷう。

 まどのそとは、ギンギラたいよう。

 クーラーがついているおへやじゃないと、あっちっち。

 だから、でかけるのにも、けいかくとゆうきがひつようだって、あたしなりにわかってる。


 だけど、なぁ。


 ヒマだ。

 ヒマすぎる!


 なにか、したい。

 いえのなかじゃ、できないこと!


「そうだ! こうえんにいって、かえりにごほうび、アイスをたべてかえってこよう!」

「いやだよ。あついし。アイスかうよていないし」


 ぷう!

 あたしのけいかくじゃ、ママのゆうきはでないのか!

 もう!

 パパがかえってきたら、そうだんしよう! そうしよう!



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