第144話 なつだ!ドリルだ!


 ママがきゅうに、ほんやさんへいこうっていいだした。

 でも、えほんコーナーには、いかないっていう。

 じゃあ、どこへいくんだろう。


「どれがいいかなぁ」

「ママ」

「ん?」

「なに? これ」

「ドリル」

「ドリル?」


 ああ、なんか、きいたことがあるきがする。

 おともだちがやってるって、いってた。

 なんか、ワークみたいなやつだ。


「だれの?」

「リンの」


 な、なんだって?

 あたし、こんな、もじとかすうじがいっぱいのやつ、きょうみないんだけど?


「もうすぐ、しょうがくせいだし」


 あたしはまだ、しょうがくせいのきぶんには、なれてない!

 ランドセルだって、とどいてないし!


「まだまだだよ」

「そんなこといって。すぐだよ、すぐ」


 むぅ。

 まだまだだってば。


 あたしはドリルをえらばなかった。

 そうしたら、ママがかってに、ドリルをえらんで、かった。

 ママは、せんせいにでもなるつもりみたい。

 はなからフンフン、いきをはいてる。


「さぁ、さっそくやろう!」


 かえるなり、ママがかったばかりのドリルをひらいた。


 ぷう!

 あたしは、やるき、ないからね!


「やだ」

「そんなこといったって、なつやすみちゅう、やることないし」


 たしかに、そうだ。

 なつやすみがはじまったけど、よていはまだない。


「ほらほら。ドリル1ページやるごとに、チョコレートをひとつあげよう」


 なんだって⁉︎

 チョコもらえるの?


 あたしはドリルをパラパラめくった。

 これをぜんぶやったら……チョコたくさん!


「よし、やろう」

「がんばれ、リン」


 なつはドリルで、チョコゲット!


「チョコよういしておいてね! ママ」

「もちろん……って、チョコレートかいわすれちゃった。てへっ」


 ……ぷう!

 


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