ぷう！

第143話 フードコート

　きょうは、フードコートにやってきた。

　ぎゅうどんのオマケで、かわいいおもちゃがもらえるってきいて、おねだりしたんだ。

「うーん。せきがほとんど、うまっているね」

　おひるどきにきたからかなぁ。

　たくさんあるテーブルは、どこもだれかがすわってる。

　あそこがあいた！　っておもっても、すぐにとられちゃう。

「リンとせきをさがしておくから、ちゅうもんたのんでもいい？　ママ」

「うーん。ぎゃくがいいな。わたしは、あのかんばんのカレー。リンは、おこさまぎゅうどんをセットにして……あれ、ジュース、なにがいい？」

「なにがあるの？」

「なんだったかなぁ。りんご？　ぶどう？」

　ママは、あたまのうえに、ハテナマークをたくさんうかべた。

「じゃあ、パパのおすすめ」

「お、おお……。なんか、せきにんじゅうだいだなぁ。でも、うん。わかった！　まかせて！」

　あたしたちは、バラバラになった。

　だけどせきは、みつからない。

「うーん。おもちかえりにしたほうが、よかったかなぁ」

　い、いやだ。

　せっかくきたんだもん。

　ここでたべたいよぅ。

　すると、そのとき！

「あ、リンちゃん！」

　ん？　よばれた？

「あー、こんにちは」

　ママがにっこり、こえがしたほうへちかづいていく。

「おひるですか？」

「そうなんですけど、なかなかせきがなくて」

「うち、たべおわったんで。よかったらここ、つかってください」

「いいんですか？」

「もちろん！　あ、ちょっとまってね。いそいでかたづけるから。エリ、てつだって」

「はーい！」

　つくえのうえは、まほうをつかったみたいに、すぐにピカピカになった。

「エリおねえちゃん、ありがと」

「ふふ。リンちゃん、ありがとっていえるようになったんだね。このまえあったときは、ありとと、だったきがするけど」

　うぅ。なんだかすこし、はずかしい。

「もらったみずぎ、プールのときにつかったよ！　ありがと」

「ほんとう？　うれしい！　こちらこそ、ありがとう！」

　じゃあね、って、てをふりあっていたら、パパがトレーをふたつもってやってきた。

「パパ、ありがと」

「うん。おまたせ」

　あたしはとってもいいきぶんで、ぎゅうどんをたべた。

　たべおわったら、おたのしみの……

「おっもちゃ！　おっもちゃ！　……う、うぅ」

「あら。ほしいやつじゃないね」

　エリおねえちゃんにあえたし、せきはゲットできたけど、ほしいオモチャはゲットできなかった。

　……とほほ。