第146話 パパにそうだん


 あたしは、いま、なつやすみ。

 ドリルをやってチョコをたべるくらいしか、やることがない、ヒマなじかんをすごしてる。


 ひるま、あたしはよていになかった、〝こうえんへいって、かえりにアイスをたべる〟っていうけいかくをママにていあんした。

 だけど、ママはあたしのけいかくに、「うん」とか「そうしよう」っていってくれなかった。


 だから、あたしはパパにそうだんすることにした。

 パパはきっと、あたしのミカタになってくれるはずだ!


「ねぇ、パパ」

「んー? どうした? リン」

「なつやすみ、ドリルとチョコだけじゃ、ヒマ」

「あっはっは! そっかそっか。あつくてきがるにそとにでられないし、おうちのなかだけじゃ、やることがかぎられちゃうし。むずかしいもんだいだねぇ」


 パパはニッコリわらいながら、うーん、ってつぶやきながら、あたまをツンツン、ゆびでつついた。

 あたしには、どうしたらいいのか、かんがえてくれているようにみえた。


「ああ、パパ、クッキーたべたくなってきたなぁ」

「……え?」

「パパ、てづくりのクッキーがたべたいなぁ」


 ぷう!

 あたしのそうだんのことを、かんがえてくれていたんじゃなかったの? パパ!


 あたしはほっぺたをぷうぷうさせた。

 そうしたら、パパは、あたしのあたまをなでながら、こういった。


「いや、だからさ。パパはクッキーがたべたいんだよ」

「もう、まわりくどいのよ」


 ママがクスクスわらいながら、ちょっとめんどうくさそうに、あたしたちのはなしに、はいってきた。


「リン。こんど、パパにクッキーをやいてあげようか」

「……!」


 クッキー、やきたい!


「うん! やる!」

「なつやすみ、おうちでできる、たのしいよていができたね」


 もしかして、パパはおうちでできることをふやすために、クッキーがたべたいっていったの?

 うーん。こまかいことは、わかんない。

 だけど、がんばって、おいしいクッキー、つくるね!


「パパ」

「んー? どうした? リン」

「そうだん、のってくれて、ありがと」

「はーい、どういたしまして」


 また、あたまをなでられた。

 よし、おいしいクッキーをつくるぞ!

 それでまた、ヨシヨシしてもらうんだ!

 


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