”響く銃声”


間一髪のところで私の胸部を狙った弾丸は私の胸に入っていた石器に弾かれ弾道変化した


まさか!ばれちゃいない

だれが私の服の中に石器があると思っているんだ!

どうやって知るってんだ!?


私はまた走り出した


もうすでに私の眼に他の人は写っていない


このまま走り続けてもいづれはスナイパーの餌食になるだけだ、いったい私はどこに逃げればいいんだ!?


そうだ、逃げなくてもいい

あいつが私を撃てない状況にさせてやればいいんだ


私はテレビの取材に来ているレポータめがけて走り出した

私がレポーターを探すとすぐに見つかった


私が撮影人の集団に乱入するとカメラはとても動揺していた


私はカメラをがっしり握りしめ

「いつでも狙われているんだぞ!私も狙われているんだぞ!」と

発狂するように叫んだ


その周辺にいた人たちは奇妙なものを見るように私を見ている


だがその表情を一瞬でかき消したのは



空を切り裂く音、それはまるで口笛のようだった


その一撃が地面に当たった瞬間ビルに跳弾し

入口の窓ガラスが割れた粉々になった


一瞬で行き交う人々はパニックに陥り


みんな私を避けるように散り散りになっていった


誰を私を助けようとはしてくれないのか?

誰か一人でも私のことを考えてくれてもいいじゃないか


テレビを見ているお前!関心を持ってくれよ!!


警察に言ってくれよ!

あいつを困らせてくれよ!!

私を撃たせないようにしてくれよ!!!


私の悲痛な叫びはこだまにならず、私を見てくれていたのは

私の頭部に示された照準器だけだった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る