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”響く銃声”
そのシーンは自分にとってスローモーションだった
間一髪で私は後ろによろめいた
目の前を細長く、熱く、素早く、銃弾が掠めていった
その熱膨張の音が耳に伝わるか伝わらないかの寸前で私はまだ足を動かし始めた
既に僕の目に周りの人は映らない
飽きることなく追ってくるその銃口を睨み返し、僕は走る
家に帰ったからと言ってどうするんだ、家の中に入っても銃弾に貫通されて終わりじゃあないか!
こんな映画みたいなこと起きていいのか?どうして戦場でもないここで狙撃手に狙われないといけないんだ!
僕はそんなことを考えながら射線から逃れるように家の路地を曲がった
僕は今からどこに向かえばいいんだ、人がたくさんいて、人ごみに紛れ込みやすい場所‥‥身震いしながら考えた
「それこそ映画館だ!」
この悪夢から覚める方法はわからない、だがそう諦めていては現状は変わらない
最寄りの映画館に目標を定め僕は足を強く踏み込んだ
地面が鼓動するように見えるほどに必死で映画館の近くの公園まできた、
だが、ふと気づいてしまった
紅葉したイチョウの木の元、こちらに照準が向いている銃器を、自然に溶け込んだスナイパーの姿を、
逃がすふりをして、待ち構えていたのか、あいつに翻弄されているだけだったのか?
止めない歩みに刺される弾丸、完全に狙いをつけられていた
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