第8話

後半の45分間も宜野湾の再三の攻撃を跳ね返し続け、前半に岡部選手があげた1点を守り抜いたブッカケーロが1-0で見事勝利を飾った。


「ねぇ!勝ったよ!」

彼女の名前である「遥」の字が名前に入っていることもあって、遥は岡部選手の背番号である「19」のユニフォームを着ていつもスタジアムに行っていた。


リーグも10節までを消化し、大きな怪我もなくここまで全試合に出場中の岡部選手は今日の1得点を加え、10試合で7ゴール。N2リーグの得点ランキングトップタイに躍り出たのだった。

チーム全体の総得点が13なので、半数以上を決めている岡部選手は完全にブッカケーロのエース級の存在となっている。



試合後、私は周りのサポーター仲間ともハイタッチ。そして勝利のラインダンスをサポーターの元に挨拶に来てくれた選手たちと一緒に踊り、試合が終わってから15分以上が経過してようやくスタジアムを後にしたのだった。

この時、私はデートしている陵介が「仮の彼氏」であることはすっかり忘れてしまっていた。

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