第5話

この時、陵介と遥の間に一瞬の静寂が生まれた。


「……」


「いいですよ」

「ありがとう。じゃあ今日から俺は遥ちゃんの彼氏ということでいいね?」

「は、はい…」



交渉成立!これで今日から俺は遥ちゃんの彼氏だ。


「陵介先輩…」

「先輩呼びやめて!距離が縮まらないでしょ!」

「じゃあ…陵介くん」

「なーに?遥」

「遥呼びですか?」

「いいでしょ!俺は今まで遥ちゃん呼びだったから、距離を縮めるためには呼び捨てかな~って」

「べ、べつにいいですけど…」


なんだか遥は乗り気じゃなさそう。



「陵介くん…サッカーってよく見ますか?」

「敬語も禁止!くん呼びに敬語は似合わないでしょ!」

「…サッカーってよく見る?」

「代表戦ぐらいは見るかな」

「今度一緒にサッカー観戦行かない?私、実はブッカケーロ香川っていう地元のサッカーチームのサポーターなんだ!ホーム戦の日は毎日スタジアムに観戦に行ってて…」

「試合いつあるの?」

「来週の日曜日なんだけど…」

「いいよ!サッカー観戦一緒に行こう!」



こうして遥による罰ゲームの告白から始まったこの恋は、陵介による「レンタル彼女」の提案で継続することになった。そして仮でも好きな子の彼氏になることができた陵介は、明らかに調子に乗っていた。

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