第18話 保護へ

保護猫団体さんと初めて電話で連絡を取ったのは、9月の末。

9月に入ってからだんだん見かける回数が増えたから。

それは、いつも以上に外を気にするようになったのもあるし、くりかのこの縄張りが少しずつうちの近所に移動しているのもあったと思う。


洗濯物を干すとき、必ず庭を見る。

雨戸はそっと開けて、見渡す。

朝、ゴミ出しついでに近所を一周歩く。

部屋にいる時、いつでも庭が見えるように、少しカーテンを開けておく。

数時間おきに、外に出てみる。

夜中、毎日散歩する。


一日中暇さえあれば外を観察して、くりかのこを確認して、9月末から、カレンダーにくりかのこが来た日に丸をつけ、来た時間をメモし始めた。


一週間が経ち、二週間が経ち。。。一か月が経った頃、くりかのこがうちに来る時間がなんとなく分かるようになっていた。


洗濯物干しながら、もうすぐ来るなと思うと、下を向いて庭をトコトコ歩いてきた。


玄関ドアに縦に細く入った明りとり?のくもりガラスを見ていると、黒い小さな塊がトコトコ横切って、しばらくすると、またまた来た道をトコトコ歩いていくのである。



10月、一か月付け続けたメモを整理すると、

水曜日と土曜日は来ない。

時間は、

6時から8時の間

10時から11時の間

13時から16時の間

19時から21時の間

23時から2時の間

のいずれかの時間に、1日2回から3回やってくることがわかった。


11月に入る頃には、

時計を見るわけでもなく、なんとなく

「今来る気がする。」

と思って、外を見ると、うちの庭をトコトコ歩いていたり、買い物に行く時に「なんか今いる気がする」と思って玄関を開けると鉢合わせになって驚いたりもした。


今思ってもとても不思議なんだけど、もうすぐうちに来る、今いるって、分かるようになっていたのだ。


そして、ある日チュールをあげてみたら、くりかのこは、私が手に持ったままのチュールを食べたのだ!

これなら保護できるかも!


11月に入って、保護猫団体さんから捕獲機をお借りした。

捕獲機をみたら、ここに一度でも入れるのは可哀想だなって、正直にいうと思った。だから、キャリーを買ってみた。

キャリーの蓋を外しておいて、中にご飯を入れておく。で、中に入ったら私がそっと蓋をする。そうしたら、ガシャンッて扉の閉まる大きな音で驚かせることもないだろう。

こっそりキャリーの蓋をスムーズに閉める練習をした。真剣に練習したのだ。


猫さんの素早さに敵うわけないのにね(^^)




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雲母あお 猫を飼う 雲母あお @unmoao

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