第12話 初めて庭にいた! 2021年7月16日

それは、2021年7月16日だった。

暑い。

19時頃、外出先から帰宅すると、うちの小さな土がある庭に黒い丸い塊があるのに気がついた。

庭の端っこで、門柱灯は、庭の反対側についているから、黒い丸い塊があるところは真っ暗だ。

「あれ何かな?」

暗闇で動かない黒い塊は、最初に見つけたときに、猫だとは思わなかった。申し訳ないけど暗くて見えないから、風で飛んできたゴミかな?とも思った。ごめん、くりかのこ!


恐る恐る近づくと、真っ黒い毛の塊だった。こちらに背中を向けて、地面に顔をつけて、何かに夢中になっているようだ。

「もしかしてあの黒猫!?」

そっと近づいて、よくみると、むしゃむしゃと何かを食べているようだった。ただ、こちらからは黒猫の背中側しか見えず、何を食べているのか確認できない。


こんなに近づいても気にしていないのなら、このまま捕獲できるのではないか?

という考えが頭をよぎった。少し離れたところで、黒猫を見守りつつ、素手で抱っこしようとするのはやめた方がいいって本に書いてあったし、網も持っていない。捕獲機もない。考えているうちに、姿を消してしまった。


さっきまで黒猫がいた場所を見てみると、ただの土。何にもない地面だった。


何かを食べている様子に見えたけど、何にもない。全部食べちゃったのかな?

それに、もし何か食べてたとしたら、あんなに夢中になって、何を食べていたんだろう???

ごはんとか何にも置いていないのに…?


黒猫が姿を消した方を見ながら、不思議に思っていた。



うちにも来ていたんだな。

この日初めて庭で、黒猫を見た。

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