第4話 雲母あお 出会う

その黒い丸いものは、公園の芝生の上でも、雑草の中でもなく、公園の真ん中をS字を描くように走る石畳の道をゆっくりと歩いていた。


公園の灯りは、全体をまんべんなく照らしているわけではない。

私が歩く歩道のあるところの反対側は、街灯もなく真っ暗なのである。だから、私の目から見える光景は、真っ暗なところに、さらに黒い丸いものが、ゆらゆらと動いているという感じなのだ。


私から5mくらい手前まできた時、街灯の下に黒い丸いものが入った。

「子猫…?」

その、黒い丸いものは、少しブラウンがかった黒猫だったのだ。

そのまま、私に向かってまっすぐ歩いてくる。

下を向き、トボトボと歩いてくるのだ。

「くりかのこ。」

その黒猫をみて、私は瞬間的にそう呼んでいた。

そのまま私のところまで来るのかなと思ったら、

「にゃー。」

と、私を見て一回鳴くと、直角に曲がって、雑草生い茂る草むらへと消えてしまった。


それが、私と「黒猫くりかのこ」との最初の出会いだった。


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