こんにちは日本

 こんにちは日本。

「いや馬崎は生粋の日本人だろ」

「おっと失礼。よもや日本の裏側がこうなっているとは知らなくてね。こういうところはだいたい美少女かイケメンが液体に満ちたカプセルの中で保存されているんだろ。それで私たちの役目は、そのイケメンか美少女の誘拐だったよな」

 今、私の目の前に広がっているのは中二心をくすぐる地下施設。このまま進めば美少女かイケメンが眠っているカプセルがあるだろう。なかったらそれは嘘だ。

「違うわ。お前のタイピング練習が終わってからの20分間、まさか話を聞いていなかったわけではないだろ。今ここを通っている理由は表立って総理の部屋に行くことができないから今ここの地下通路を使っているてこと覚えてるよな。美少女がいないことなんて了承済みだよな」

「分かっている。誘拐の手はずは整っている。まずはそれについて知っている全人類、及び鳥人を抹殺して……」

「アホ―!」

 どこかでアホウドリが鳴いているようだ。アホウドリが本当に「アホ―!」となくのかは知らないが。

「『どこでアホウドリが鳴いているんだろう』みたいな顔してんじゃねえ」

「まさか君、私に対してアホといったのか」

 信じられない。

「そんなこと今更言ってもしょうがないだろ。なんてったって私はアホなのだから」

「ようやくこっちに顔を向けたな」

 疲れた顔をしている健。私がこういうやつって知らなかったのだろうか。

「いいか。今日することはテロリストの説得だ。今日1日を守ったところでしょうがない。明日も、明後日もその次の日も、テロを起こさせないことが大切なんだ。」

「大丈夫。分かっているから。テロリストの抹殺を……」

「なんで殺そうとするの!? しかも相手は総理大臣なんだよ。通常の業務に戻すことが今回、一番大切なんだよ」

 諦めるしかなかろう。相手が総理大臣なら。彼女の運動で助かったことは山ほどある。

「仕方ない。大人しく説得するか」

「そうすれば報酬も出るから」

「How much?」

「100万」

「まじっすか」

「相手を考えるとこれでも安いぐらいだけどね」

「そうと決まったら出発だ」

 本棚を作り、絶版になる前に古いラノベを買う。そして電子書籍でも買う。これで人生は豊かになる。

 私は現金な奴だ。

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