第271話 正直チビッた / 曇天 ①
【悲報】ぼくらの黄物を助けて【運営やらかす】
・ぼくらの一般人
ユーヘイニキとヒロシニキこわぁっ!
・ぼくらのYAKUZA
迫力が違います。いや、マジでうちらの
・ぼくらのDEKA
いや、マジでKEN警の横槍は殺意に目覚めるぞ? YAKUZA関係のタイホは全部KEN警のヤブスキとかヤスイとかの馬鹿野郎に台無しにされて、俺らガチギレ
・ぼくらの探偵
カラスもやばい……なぁにあれ?! 気がついたら処されてたんですけどぉ?!
・ぼくらのDEKA
あー、絶対、出てるゲーム間違ってる集団なぁ……『第一分署』の皆様方には対処されておりましたが。
・ぼくらの探偵
馬鹿野郎! あの化け物集団と一緒にするなし!
・ぼくらのDEKA
『第二分署』とかWWWとかは対処出来てたけど?
・ぼくらの探偵
どこもかしこも一流プレイヤー集団! アイム凡プレイヤー! しかもソロボッチ!
・ぼくらのDEKA
あ……すまん……
・ぼくらの探偵
やめれ! そのガチっぽい反応ヤメテ! 泣けるから!
・ぼくらのYAKUZA
DEKAはKEN警の妨害、ノービスはカラス、んでオレらYAKUZAは縄張りを荒らす自称ギャングがうざいうざい
・ぼくらの一般人
ギャング?
・ぼくらのYAKUZA
明らかに未成年っぽい感じのNPC不良少年少女っぽい集団。連携してるDEKAのギルドにも手伝ってもらって排除したんだが、いやもうね、湧くってレベルであっちこっちにおるのよ。しかもこれまでの敵対YAKUZAみたいに暴力で排除すっと、報復行為が
・ぼくらのDEKA
うわぁ……
・ぼくらの探偵
うわぁ……
・ぼくらの一般人
うわぁ……
・ぼくらのYAKUZA
だから地下攻略が思いっきり停滞しやがった。それでもYAKUZAトップの組なんかは進めているんだけど、前までに比べると牛歩っていう。影響受けてないのって
・ぼくらのDEKA
あー、なつめさんも別の問題が……
・ぼくらのYAKUZA
へ?!
・ぼくらのDEKA
その年若いお子様達にロックオンされてストーキングされてるらしい
・ぼくらの一般人
うわぁ……
・ぼくらのYAKUZA
うわぁ……
・ぼくらの探偵
うわぁ……
・ぼくらのDEKA
しかも男から
・ぼくらの一般人
ちょっ! それマジかよ!
・ぼくらのYAKUZA
よりにもよってNPCが、まさかの伝説『もう性別とかどうでも良いから付き合って!』をするとか、まじかー
・ぼくらの探偵
なつめ君って短気だったよね? それはさすがにキレるんじゃ?
・ぼくらのDEKA
いやさすがにねぇってキレて、直接運営に凸ったらしい
・ぼくらの探偵
そりゃそうなるわー
・ぼくらのYAKUZA
ワイトもそうします
・ぼくらの一般人
男はきっついよなぁ
・ぼくらのYAKUZA
まぁ、とりあえずお互いにお互いをフォローしながら勧めるしかねぇって感じかね?
・ぼくらのDEKA
順当っちゃ順当だけどな
・ぼくらの一般人
確かにゲームって言うよりかはドラマの世界にいるって感覚にはなってるから、面倒臭いけど面白くはなってるんだよなぁ、苦労するけど
・ぼくらの探偵
それはそうなんだよなぁ……凡プレイヤーには厳しい現実だ
・ぼくらのDEKA
ソロボッチだしな?
・ぼくらの探偵
だまらっしゃい!
・ぼくらのYAKUZA
どうどう。ま、お互い頑張ろうぜ
――――――――――――――――――――
車全体を激しく叩く水の音を聞き、そしてフロントガラスを激しく濡らす水流を眺め、運転席の座席を倒していたユーヘイが、しみじみと呟く。
「雨って気が滅入るぜ」
助手席のドアに肘を当て、頬杖をつくような姿勢をしていたヒロシが、ユーヘイを呆れた表情で眺めながら、軽く鼻で笑う。
「雨もたまにはオツだろ?」
ヒロシの返しにユーヘイはかけていたサングラスをずらし、尖った視線を向ける。
「どこがよ?」
ユーヘイの問いに、ヒロシはサングラスを外して、懐からココアシガーの箱を取り出して笑みを浮かべた。
「雨に濡れた女とか、最高だろ?」
ココアシガーを口に咥え、煙のエフェクトを吐き出しながらヒロシが言えば、ユーヘイはサングラスの位置を元に戻しながら、フムと頷く。
「雨に濡れなくても女は良いものだと思うが?」
ユーヘイの言葉にヒロシは肩を竦める。
「それは否定しないが、水も滴る良い女っていうのは実際いるんだよ」
「それも否定はしない」
「さすが大田君、分かってらっしゃる」
「縦山さんには負けますわ」
二人で顔を見合わせ、くぐもった笑い声を出していると、その様子を黙って見ていたトージが呆れた溜息を吐き出す。
「洗車中の車内でバカな会話してて面白いですか? 先輩方」
心底呆れた、少し軽蔑の入った視線を向けられた二人は、分かってないなぁと苦笑を浮かべる。
「こういう会話を楽しむのもオツってもんなんだよ、町村君」
ココアシガーを挟んだ左手をヒラヒラ揺らし、ヒロシが白い歯を見せて笑う。
「そうそう、あの狂乱の運営やらかしが終結したんだ、これぐらいのんびりしてた方が良いに違いないだろ?」
憮然とした表情を浮かべるトージの肩を叩きながら、ユーヘイが緩んだ雰囲気で体を揺らす。
「まぁ、あの突発イベントの後始末は大変でしたから、分からないではないですが……それがどうして女性の話に繋がるんです?」
初期設定をしてなかった為に引き起こされた突発イベントは、終結するまで色々と後を弾いた。特にDEKAプレイヤーの負担は大きく、ユーヘイがここまでぐんにゃりするのも無理からぬものがあるのも理解している。しているのだが、それがどうして女性どうこうの話に繋がるのか突っ込めば、二人は急にきりりとした表情でハモった。
「「その場のノリ」」
「さいですか」
聞くだけアホでした、そう後悔していると、車を打ち付ける水の音が収まり、次の工程へと進む音がする。それを聞きながらトージはヘニョっているユーヘイへ視線を向けた。
「これからどうする予定なんです? とりあえずついてこいって言われたからついてきましたけど」
トージの言葉にユーヘイは伸びをしながら、あくびを漏らす。
「特に何も考えてねーよ。今日はノンさんもダディも用事でログイン出来ないし、あっちゃんも用事があるらしいし、山は変態だし。俺とタテさんとお前の三人じゃクエストもムズいだろうし、まぁ適当に車を流してメシでも食おうや、って感じだ」
「山さんが変態なのは否定しないが、そこには関係ないだろ? 否定はしないが、な」
「否定してあげましょうよ。単なる生産バカなだけでそこまで変態では――」
「「いや、変態だ」」
「……」
妙に緩い空気の中で軽口を叩き合っていると、機械洗車が終了しガソリンスタンドの従業員が運転席のドアに近づいてきた。ユーヘイは座席を起こして窓を開けると、従業員が提示する料金を手渡し、領収書下さいと付け加えた。
「領収書って、SYOKATUに請求出来るのか?」
「さぁ? 流れで言っただけなんだけどね?」
「そういうノリって大切だよねぇ」
「そういうモンですか?」
「そういうモンじゃないの? 多分」
実にゆるっゆるな会話を繰り広げていると、従業員が領収書を持って戻ってきた。
「ありがとう」
ユーヘイは領収書を受け取り、従業員に軽く会釈をしてからエンジンを動かす。
「とりあえずベイサイドに行くか?」
「その心は?」
「や、さっきの会話で水が滴る良い女ってのがあったから?」
「適当だなぁー」
「他に思いつかなかったんだよ」
「良いんじゃないですか? アップデートの諸々をベイサイドでは確認出来てませんし」
「んじゃまぁ、海に行くか海に」
三人はやや不純な動機で、ベイサイドエリアに向かって車を進めるのであった。
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