第一章 殺したがりと七不思議
怪しい人
「肝試し、ですか?」
あの日から数週間。テストも終わり、そろそろ夏休みも目前となったころ、誰も寄り付かない空き教室でそんな言葉が飛び出した。
「うん。今クラス...というより私の周りのグループで話題になってる」
誰が言い出したか知らないが夜の学校に忍び込んで肝試しをやろうという話になったらしい。うちの学校は七不思議が私の知っているだけで15以上あるからそれを確かめようという話もある。
「それは...すこし、いやかなり危ないですね」
確かに夜の学校に入ったことはあるが、校舎の中には無い。校舎はもちろん施錠されているから簡単には入れないこと、さすがにばれたら問題になることがあるが、危険というのはそこではなさそうだ。
「もしかしてだけどさ...実際に、出たりするの?」
目の前にいるのは、不死身の少女だ。そういうのがいてもおかしくはない。
「はい。いますよ。実際に殺されたことがあるので」
殺されたってことは、
「それって、やばい?」
「はい。一部の七不思議は素人が生半可な知識で会いに行くと死にかねません」
一応噂話レベルは知っていると思うが、知識としては中途半端だろう。
「それは危ないですね...止められそうですか?」
「心を読むな。まあ不参加はできても中止はできないと思う。もう結構人集まってるし」
別に友達というわけではないが、死なれたりするとさすがに寝覚めが悪い。
「一番いいのは先生に密告することですね。信じてくれたらですが」
今は直接チャットアプリなどで話し合っているわけじゃない。流石にそれぐらいのことは考えているようで、直接顔を合わせて話していることばかりだ。こんな話があると先生に報告しても、注意しておくぐらいしか言われないだろう。
「実際に日時を決めれば証拠を出すでしょうから、それまで様子を見ましょう」
それしかない、か。正直さっきまではあんまり深刻に考えていなかったけど死ぬかもしれないと聞くと少し不安になってくる。
「そういえば、殺されたって言ってたけど、どれに殺されたの?」
殺されていたことにもう驚きはない。この少女なら殺されるために夜の校舎に忍び込んでも何もおかしくはない。
彼女は少し悩むそぶりを見せた後に、言う。
「私が殺されたのは、
そりゃまた物騒な話で
「そうだ。狩谷さんは、この学校の七不思議についてどれくらい知っていますか?」
私は噂話が好きな方ではない。そして好きな人が周りにいるわけではないので、
「あんまり知らないかな。私でさえ15以上知ってるんだからとんでもなく多いんだろうけど」
そう。この学校は七不思議は異常に多い。何か理由があるのだろうが。
「私も詳しくはありませんが、知ってそうな人には心当たりがあります」
「まあ私が知っている範囲だと、七不思議は「七つすべてを知ると。死んでしまうんだ」
———知らない、声
「だ、だr「どうも初めまして。私は、オカルト部の部長だ。部長と呼んでくれたまえ」
自己紹介されたが、そういうことではない。何なんだこの人。なんか仮面付けてるし。
「あ、部長。久しぶりですね。今日は女子の制服ですか」
今日は?今日はって言った?前回は何だったの?
「久しぶりだねぇ神宮君。最近は死ねてるかい?」
「ええ、イイ感じに死ねてますよ」
何なんだこの会話。私の頭にはもうこの謎の人が
「ああすまない。君をほったらかしにしていた。狩谷悠里君だね。私が彼女の言っていた知ってそうな人、だよ」
「そして、初対面で悪いが少しお願いがある」
「その肝試し、私もついて行っていいかい?」
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