第74話 74
74
混浴露天風呂で女性待ちをしたが残念ながら不発に終わった。
そして部屋戻ると安藤さんが言葉を掛けて来た。
「女性の裸は拝めたのかしら?」と。
俺は全てお見通しかと思い返答した。
「
安藤さんは俺の言葉聞いてあっけに取られていたが、復活して声を掛けて来た。
「一体どこに行っていたの?」
「大自然の中で目を閉じていただけだよ」
「そっそれは良かったねと言いたい所だけど、
「ああ、野生の鹿が居てね能力を発動したら病気の部分が見えたんだ。病気の名前は出てこなかったけど」
「それって凄い事じゃないの!?」
安藤さんは椅子から身を乗り出して聞いてきた。
しかし俺のテンションはだだ下がりだ。
「そう?大した事ないよ、動物だからね」
「大した事あるわよ。今後の運営にそれ使えるじゃない!」
安藤さんはノリノリだ。
「そうだね。今日は疲れたから寝るよ、お休み」
俺は目の前にある布団へと入った。
安藤さんの布団は奥の引き戸の奥にある。つまりリビング的な所に俺の布団が敷いてあるのだ。
安藤さんは俺が布団に入るのを見て近寄って来て枕元に座った。
俺は安藤さんに対して背中を向けている状態だ。
安藤さんは俺の耳元へ顔を近づけて囁いた。
「お疲れ様」と。
俺は安藤さんの声を聞いて、素直に安藤さんを混浴露天風呂に誘えば良かったかなと思うのであった。
-
翌日、天気は快晴。
俺の心は昨日のダメージが抜けてなく雲空だが、朝浴衣が少しはだけた安藤さんを見れた事は少しだけラッキーだった。今日は特に予定を決めていないので帰るだけだが、そのまま帰るのはもったいないので俺達は地ビール工房へとやってきた。
何故、ここを選んだかと言えば飲まなくてはダメージが消えない様な気がしたからだ。
俺達は少し見学した後、地ビールとチーズを味わった。
俺はこんな所でも安藤さんの強い所を発見してしまった。
安藤さんは酒に強いのだ。今までも一緒に飲んだことがあったが、今ので既に3杯目を飲んでも顔色一つ変えないのだ。俺はと言うと既に少し気分が優れなくなったので退散する事にした。
そして俺達はほろ酔い気分のまま電車に乗り名古屋へと帰宅したのだが、俺はほろ酔いじゃなくてゲロゲロで帰ったのは苦すぎる思い出となった。
*
場所は東京の厚生労働大臣の
応接室のソファーに深く座り、向かいのソファーには
「
「いえいえ、私の功績はほとんどありませんよ、全てシグナルスキャンさんが情報を抜き出しましたので」
「しかし、シグナルスキャンの能力は本当に怖いな」
「ええ、近寄るだけで相手の体の情報を抜き取るなんて恐ろしいですよ。経済大臣に情報を開示して脅しを掛けるだけで、彼は表舞台から降りる事を選択しましたからね」
「私は経済大臣の判断は正しいと思うぞ、私も彼の立場なら9割型表舞台より降りるからな」
「先生なら残りの1割で逆転を狙いそうですけどね」
「裏の手があればそうするがな。それよりシグナルスキャンの扱いを今後どうするのかね?」
「正直どうしようか迷っています。変に持ち上げても良くありませんし、以前のように依存させるには段々と無理が
「そうか、それなら見守る程度の方がいいかもしれんな」
「わかりました、何かあれば手助けする方向で行きます」
*
時は過ぎ俺は大学4年生になった。
言い忘れていたが、家庭教師をしていた男の子は無事中学受験に成功した。成功報酬として俺は食事券を両親より貰った。その食事券の場所は俺と安藤さんでタクシーに乗り食べに行ったステーキ店だった。当然俺は安藤さんを誘ってステーキを食べに行ったのだが、食べている時に
-
俺達はブラックスマイル法律事務所の
会社名は個人事業主の名前そのままに『株式会社 鈴木屋』とした。
名前については賛否両論あるが、俺は考えるのが面倒くさくなり思考を放棄しそのままとした。どんな名前だろうが儲かればそれで良いのだと自分に言い聞かせて。
ちなみにだが、安藤さんも同時に役員になる事になった。
本来は1年後の4月を予定していたのだが、安藤さんより両親が就職について心配しているとの話を聞いて、急遽早めたと言う訳だ。当然安藤さんも個人事業主は廃業した。
ちなみに給料は二人共大学新卒平均とし、儲かればボーナス還元とした。
そして会社設立の目玉として動物病気占いを開始する事に決めた。
長野で鹿を見た事による新占いだ。当然だが俺は野良猫を探しては能力を発動させ確認を行った。結果は鹿を占った時と同様にグラデーションは出たが病気名は頭の中に浮かばなかった。やはり人間とは違うと言う事なのだろうか。
動物占いは全予約制にし月に2回程度の開催とした。そこまで需要があるとは思えないからだ。そして料金は4千円とした。
そして第一回動物病気占いを開催する事になった。
驚くべき事に予約は全て埋まると言う快挙を遂げたのだ。俺達はこれは儲かるのではと言う予想を立ててホームページで来週の予約枠を設定した。まだ一匹も見てない内に。
幸いにも天候が晴れだった事で一階の軒先で始める事にした。俺の用意した物は犬、猫の絵そして一応鳥の絵を用意した。ペットとしてはこんなものだろうと予測して。
最初の患者は柴犬だった。大人しい犬で俺はゆっくりと犬を鑑定する事が出来た。次に来たのは大型犬でこちらもどっしりと構えている感じで問題なかった。そして問題は3匹目に起きた。
小型犬で物凄く動き周り焦点が定まらない為飼い主に抑えてもらったのだが、今度は飼い主の手が邪魔で良く見えないのだ。
人間と違いジッとしていない為に起きたトラブルだ。これにより時間が掛かり俺達の昼飯時間が大幅に短縮されたのだ。
俺達はこんな様な時間が掛かる事業を始めてしまった事を後悔しながらの営業となった。
そして来週の予約をホームページで確認した所、又もや全て埋まっていて落ち込むのだった。
そんな時に鈴木屋宛てに占いサミットへの参加の是非を問うメールが届いたのだった。
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