第63話 63
63
数日後、世間を騒がすニュースがネットニュースから流れた。
『野党 衆議院議員
この情報に直ぐに記者やワイドショーは反応し
当然ながらニュースは芸能人の恋バナではなく、政治と金に注目を集めた。
-
都内、
豪華な応接室のソファーで苦々しくスマホでネットニュースを眺めて、いら立ちが頂点に達したのかスマホを壁に投げつける。
スマホは壁に当たると壁を少しへ込ませて床に落下する。
それを近くに居た黒服の男がスマホを拾い、強度MAXのスマホケース越しにスマホを確認して
「何処のどいつだ!ふざけたネットニュースを流した奴は!」
しかし黒服の男は答えない。
いや、答えないではなく詳細な答えを持っていないので沈黙する。
「何処まで調べが進んでいる?」
少し冷静になった
「記事を上げたのは恐らくWorhtless door(価値のないドア)のジャーナリスト
「捕まえられそうか?」
「分かりません。ネットニュースは何処からでも上げれますので飛んだ可能性もあります」
ファイルをめくり一枚の資料を取り出し机の上に置き口を開く。
「今回はこの男にしようかな」
黒服の男が近寄り資料を眺め口を開く。
「今日中に会われますか?」
「そうだな、夕食は中華のレストランで摂る予定なのでそこへ連れてこい」
「かしこまりました」
黒服の男は資料を持ち礼をし部屋を後にする。
今日も楽しい夕食になるかなと不敵に笑うのだった。
-
数時間後、都内高級中華料理屋の個室。
室内には蟹をしゃぶる汚い音が響く。
「ジュバジュバジュバ、チュウチュウ」
男は両手を蟹のエキスでドロドロにしながらしゃぶりつく。
品位のカケラもない食べ方をするのは
そこへ黒服の男に連れられて一人の男が入出する。
「ようこそ借金まみれ君」
男は焦り口を開く。
「まっ待ってくれ!かっ金は必ず払う、だから、妻と子には手を出さないでくれ!」
「安心して下さい。私はあなたが逃げない限り、家族それに親族には手を出さない事を約束しましょう」
「名前ヤマダ ヨシノリ25歳・妻マリエ24歳・娘サオリ1歳・借金総額300万円、相違はないですか?」
ヤマダは頷く。
「私はヤマダさんがいち早く借金を返済出来るようにお手伝いをしたいと思い呼んだのです」
「お手伝いですか?」
「そうです。メニューを出してくれ」
ヤマダは黒い紙に白い文字で書いてある文字を読む。
「1労働2売る3売る4消す。なっなんですこれ?」
「慌てないで下さい。今から一つ一つ説明します。まず1の労働ですが言葉通りの労働になります。月給は経費を抜いて20万です。労働内容は全身に白い服を着てもらい働く事になります。ただ、少し太陽のような強い光を浴びる事になりますので、体調がすぐれなくなる可能性があります。あっ労働労災はおりませんので自己責任ですよ」
「2の売るですが、これはヤマダさんに客が付くかどうかで収入が変わります。客が付けば月に30万は見込めるとは思いますが、こちらも一部体調がすぐれなくなる可能性がありますね」
ヤマダは想像がついたのか首を左右に振る。
「3の売るですが、こちらは少しの間入院してもらう必要があります。状態によって金額は変わりますが借金の80%を返却する事が可能だと思います。入院後は少し体重が軽くなる事と、絶対とはいいませんが寿命が縮む程度ですね。そして本命の4なのですが、地上から消してもらいたい人が居ます。上手くいけば借金の95%を返却出来ます。どれにしますか?」
「どっどれって俺はどうすればいいんだっ」
ヤマダは焦って答える。
「私のオススメは4番ですよ。とても簡単ですしあなたに痛みがないですから…」
こうして夜の食事時間は過ぎて行ったのだった。
-
一週間後、
「予想通りヤマダは相手の居場所がわからず途方に暮れており、このままではヤマダが飛ぶ可能性があります」
「ヤマダの処分は3の売るに変更。借金の
「かしこまりました」
黒服の男が立ち去ると
「やれやれ、私は他人に甘いようですね、借金の返済の世話までしてあげるなんて。私のような人はやはりもっと上に立つべきなのですが、世間はそんな私を認めようとしないとは
「血の色もこれと同様に美しいといいのですがね」
*
都内某所とある組事務所の応接室にて足を机の上に置いてふんぞり返る男がいた。
男はタバコに火を付け天井に向け大きく息を吐き出す。
そこへスキンヘッドの強面の男が向かいのソファーへと腰を下ろし声を掛ける。
「ようこそ、闇探偵シンさん。話は聞いていますか?」
シンと呼ばれた見た目は30代の
「ああ、聞いているジャーナリストを探すんだろ」
「ええ、裏から回って来た仕事です」
「面倒くさいが裏からの仕事じゃ断る事は出来ないな」
シンはタバコを灰皿へと押し当て消し、追加でタバコを加えて火を付ける。
「それでジャーナリストは何処にいるか検討はついているのか?」
「内の組で調べた所どうも名古屋に飛んだとの話が上がっていますが詳細は不明です」
「変装か?」
「そうです。そこら辺の防犯カメラを割り出し身体特徴から導き出しました」
「なら、それで当たりだな。今回の報酬は提示した金額で良いが…分かっているか?」
シンは口からよだれが垂れそうな嫌な笑みを浮かべる。
スキンヘッドの男は『またかよ』と思いながら答える。
「それは今から向かわせる予定です」
「ならいい。今夜いつもの所に連れてこい。朝には引き取りに来いよ」
そう言いながらシンはタバコの火を消して事務所を後にしたのだった。
スキンヘッドの男はシンの後ろ姿を見送ると、大きなため息を吐き声を張り上げる。
「新人!ちょっと来い!」
声に呼ばれたのかドアから一人の若い金髪の男が入出する。
「失礼します」
「仕事だ。一人の若い女さらって来い」
若い金髪の男は戸惑いながらも声を上げる。
「いっいきなり言われましても何処からですか?」
スキンヘッドの男は立ち上がりいきなり金髪の男の髪の毛を掴み上に持ち上げながら口を開く。
「お前は東京に住んで何年になる」
「いっ痛い…20年です」
金髪の男は痛みを耐えながら答える。
「だったら分かるだろう。女がいる場所が」
「原宿とかですか?」
「違うだろ、あそこはガキが居る場所だ。今流行りのスポットが新宿にあるだろ?」
「もっもしかして仁王立ち公園の事ですか?」
「良くわかってるじゃねぇか」
「でもどうすれば?」
「いいか?お前のその女受けする顔を使って路地に連れこめ。防犯カメラの場所は頭に叩き込んでから行けよ」
「わっわかりました」
そして陽は沈み暗闇が支配する時間帯が訪れるのであった。
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