第42話 42

42


インターネット掲示板スレッド


『テレビに出る人を応援するスレ★99』


101 名もなき人


特番で以下の4人が出演するぞ


病気占いのシグナルスキャン

パソコンに高速で絵を書くカキ丸君

Vチューバーヤミコ

動画配信の都市伝説ハンターミヤギ


102 名もなき人


シグナルスキャン以外テレビ初だな


103 名もなき人


シグナルスキャン以外は知ってる


104 名もなき人


>>101

特番の内容は


105 名もなき人


>>104

それぞれ紹介する番組らしい


106 名もなき人


動画配信はどうやってテレビで見せるんだ?


107 名もなき人


放送すればわかるから楽しみに待ってろ


108 名もなき人


誰が一番跳ねるかな?


109 名もなき人


Vチューバーヤミコだろ

本人出るの噂あるからな


110 名もなき人


ヤミコ大好き

テレビに投げ銭したいw


111 名もなき人


110みたいな奴がヤミコを育てたんだなw


*


私はVチューバーヤミコ。

踊ったり歌ったりが好きなんだけど、自分でも言いたくないけどあんまし可愛くない。

だから画面の中だけでも可愛くなりたくてVチューバ―始めた。

名前は本名のミヤコを一文字入れ替えてヤミコにした。

それでこのVチューバ―を始めるのに一番苦労したのがモーションキャプチャ。

体の動きをパソコンに取り込む奴。

まず、挫折しそうになったのが値段で、キャプチャとパソコンで貯金なくなった。

だけど、夢が叶った。

最初は人居なかったけど、段々人増えてお金入って、機材増やしての繰り替えしでチョットだけ有名になった。

そしたらテレビの話来た。

断ろうと思ったけど、顔は出さなくていいとの事だったからOKした。

顔以外は結構自信あるから問題なしで、顔はコアラの被り物をして出る予定。

テレビでもヤミコ全開で行く♡!


*


『特殊能力者集合』の為の番組収録が始まった。


俺と安藤さんは番組制作スタッフ達と共に総合病院へと来ていた。

病室に入ると若い男性がベッドに寝ていた。

スタッフ達が男性に最終確認を行い俺の撮影が開始された。

俺は男性に右手を出して力強い言葉を発する。


「シグナルスキャン」


俺は占い記入用紙に男性の占い結果を記入する。

そしてスタッフより渡された茶封筒に占い結果用紙を入れ、封をして口元に俺のサインそしてスタッフのサインを記入した。


「はい、OKです」


そこで撮影は終了した。


「次の予定は〇月〇日にテレビ局での撮影になりますのでお願いします」


そこで俺達はテレビスタッフ達と別れた。


「なんか簡単だったね」


「そうね、二回目だからじゃないの?」


「確かに。さあ、今日はどうする?」


「いとこの不動産から店舗の資料がいくつか着ていたから見定めない?」


安藤さんの言葉で俺は病院から俺の家へと行くのだった。


-


本番当日、俺と安藤さんは初めてのテレビ局に入った。

どんな感じかなとチョットだけ期待はあったけど、スタジオ以外は普通のビル。

警備だけはかなり厳重だった。

最初に控室に通されてそこで準備をして待っていると、スタッフが来て台本を貰った。

読んで不明な点があれば後からスタッフに聞いてくれとの事だった。

安藤さんは台本を何度も読んでいたけど、特に問題はないとの事で俺に説明してくれた。

ちなみに俺は一回さらぁ~と自分の出る所だけ流し読みした。

手抜きではないぞ、あくまでも安藤さんを信頼しての事だから。


流れは全員で椅子に座った状態からスタートで、司会の人が一人ずつピックアップをしていく感じ。

出演の流れは。

1番目はパソコンに高速で絵を書くカキ丸君。

2番目はVチューバーヤミコ。

3番目は俺。

4番目は動画配信の都市伝説ハンターミヤギ


俺は4番目のミヤギの名前を見て、チョットだけ昔の懐かしい思い出が蘇った。


そして本番が始まった。


「みなさまこんばんは。特番!特殊能力者集合の司会を務めさせて頂きますアナウンサーの神田かんださおりです。よろしくお願いします。今夜はテレビの外で活躍する方々を紹介していきたいと思います。最初に今日出演されるメンバーを紹介していきます」


カメラがパーンしてそれぞれを映し出す。


「一人目がパソコンに高速で絵を書くカキ丸君。二人目がVチューバーヤミコさん。三人目が病気占い師のシグナルスキャンさん。四人目が動画配信の都市伝説ハンターミヤギさんです。みなさんそれぞれ大変個性がありますので、順番に紹介して行きたいと思います」


そして一人目のカキ丸君に焦点が当てられ、簡単な紹介動画が流れる。

その後カキ丸君と司会のお姉さんのやり取りがあり実演が始まった。

カキ丸君がパソコン上に高速で絵を描いていくのだが、テレビ画面上で見る高速で絵を書く姿はなんとも迫力に欠け視聴者を楽しませる物ではなかった。

俺は恐らくこの部分は後で大量にカットされるだろうと予想した。


そして二人目のVチューバーヤミコ。


一人目同様に紹介映像が流れる。

その間にモーションキャプチャ準備に時間が掛かるのか、体中にパソコンへ送る装置のバンドを各部位へと巻き付けていく。


「Vチューバ―ヤミコさん、テレビ初公開!ネット画面と実物画面のダブル映像でお送りします。どうぞ!」


司会のお姉さんの合図と共に、激しいダンスミュージックが流れミニライブが始まった。


ネットの画面では猫獣人と言えばいいのか、猫の耳と尻尾を付けた可愛い女の子がダンスを披露する。

そして実物の画面では、コアラの被り物をした女性が激しいダンスを披露するのだが、実物の方は正直に言えばセクシーダンスではないかと誤解してしまう。

激しく揺れる胸、かなりくびれた腰回り、そして左右にくねらせながらフラれる尻。

ライブ用なのかVチューバ―用なのかは分からないが、かなり体の線が出る服を着ているので余計そう思う。

そして被り物をしているせいなのか、短時間のダンスで全身から汗が噴き出している。

俺はネット画面ではなく、実物のヤミコを夢中で見てしまった。

ヤバイ、エロ!

これは恐らく視聴者受けするんだろうなと予想した。

そしてスタジオのスタッフ歓声の中Vチューバ―ヤミコのステージが終わった。

スタッフ嬉しそうに笑顔が溢れている。こう言う時は役得だなと思う。


そして俺の出番がやって来た。

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