第41話 41

41


俺の名前は斎藤さいとう

現在、名古屋のテレビ局に勤めている男だ。

今、受け持っているのは平日の10時から11時までの情報番組『昼前ブラリンコ』のディレクターを担当している。


以前、目を付けていたシグナルスキャンに出演してもらい、一時的ではあるが視聴率が伸びた。

その後は良い場所や店に恵まれなかったが、視聴率はなんとか横ばいで推移した。

俺はその間に企画書を作成し提出した。

最初音沙汰がなかったので駄目だと思ったが、なんとOKが出た。ただし、1時間ではなく30分の短縮のみで中身は問題なしだった。

企画内容は、特殊能力者集合と言う昔のビックリ人間の捻りバージョンだ。

そこで俺は人選に入った。

まず、シグナルスキャンは確定として全員で3人頑張って4人ってところだ。

二人目は、パソコンに高速で絵を書く奴。

三人目は、顔出しNGだが流行りのVチューバーとか言う、画面のキャラを動かしてアイドルやってる奴。

最後に一人、動画配信でかなりの視聴回数を出している都市伝説ハンターミヤギとか言う奴がいるのだが、動画作成を見ても面白くない。なので逆にテレビで何が出来るか本人にぶつけようと考え行動に移すのだった。


*


宗教法人 一生笑顔スマイリーで大変な目にあってから数日後メールが届いた。


差出人『名古屋の○○テレビのAD(アシスタントディレクター)の木田です。

特番へのご出演を考慮していまして連絡させて頂きました。

一度お話をさせて頂きたいと思いますので、直接木田へと連絡をお願いします。

 000-1001-04510-194 木田』


前回俺達は、昼前ブラリンコの街角ハンティング・流行りはココカラと言うコーナーに出させてもらい、結構な反響があったのだ。そして今回はメールでしかわからないが特番と書いてあるので少しだけ出演時間が伸びるのではないかと思う。

俺は最初はテレビを敬遠していたが、いつまでたっても逃げていては先に進まない事から安藤さんにOKを出して連絡を取ってもらった。


「お久しぶりです」そんな挨拶から話は始まった。


「今回は内のスタッフが病院に入院していまして、そこで占って貰いスタジオで答え合わせてみたいな感じを考えてます。

当然ですがスタッフの出演や病気公表の許可は既に得ていますので問題ありません」


俺は話を聞く限り問題無さそうだが、安藤さんはメモを取りながら聞いていて口を開いた。


「他の出演者との掛け合いなどはありますか?」


「いえ、司会者と少し話す程度で特にはありません」


安藤さんは俺を見てどうするか確認をして来たので俺は頷いて了解を示した。

そして安藤さんがAD木田さんに出演の了承をして、俺の二回目のテレビ出演が決まったのだった。


*


俺の名前はミヤギ。

都市伝説ハンターミヤギと言うチャンネルで動画配信で生計を立て、いずれ日本、いや世界最高の動画配信者になる者だ。


俺は楽しい大阪旅行より本拠地であり、我が家がある名古屋へと帰って来た。

大阪の夜は動画を作る活力になり得る激しい物だった。背中のムチの跡が少しヒリヒリするが、これは愛のムチらしいので我慢だ。

そんな事を思いながら歩いていると、俺の住む二階建てのボロアパートが見えて来た。

俺は快調に階段を駆け上がり、玄関の扉に鍵を差し開けようとするが…開いている。

俺は出かける時忘れたかと思ったが、思考は後にして部屋に入ると何か具材を煮込むような良い匂いがする。俺は恐る恐る玄関から室内に入ると一人の女がエプロンをして台所に立っているのだ。

そして俺を見て声を掛けられた。


「あっお帰り。ちょうどご飯出来たから食べようか」


俺は余りの不意打ちに「おう」としか答えられなかった。

俺は女と向かい合いになり飯を食う事にした。

恐る恐る一口、美味い!

野菜に味が染みていて美味しいのだ。

俺は飯を食べながら女にどうしてここにいるなどの質問をした所、大阪の実験で会った事、名刺を俺が渡した事を語り、最後に家にはポストの隠し鍵で入ったとの事だった。

俺も最初はビックリしたが、こう言う流れもあり・・なんだと思い当面一緒に住む事にした。胸でかいし。


そんな時に一通の仕事メールが届いた。


差出人『名古屋の○○テレビのAD(アシスタントディレクター)の木田です。

特番へのご出演を考慮していまして連絡させて頂きました。

一度お話をさせて頂きたいと思いますので、直接木田へと連絡をお願いします。

 000-1001-04510-194 木田』


俺はメールを見た時に『ついに!俺の時代が来た!』と思った。

俺は早速アポを取りあう事になったのだが、俺の家に住み着いている女が一緒に行くと言うのだ。

俺は大事な商談だと断るが断じて聞き入れる様子がないので、俺は諦めて連れて行く事にした。

ちなみに女の下の名前は『マイン』と言う。

苗字は知らんが、身長160センチのナイスプロポーションとだけ言っておこう、顔は普通で髪はチョイ茶髪なミディアムヘアーな感じだ。


-


俺は喫茶店で名古屋の○○テレビのAD(アシスタントディレクター)の木田と言う男と対面し話をする事にした。


「現在企画しているのは特殊能力者集合と言う番組で、それぞれの分野で能力がある人をピックアップして紹介していく番組にする予定です。現在、病気占いのシグナルスキャンさん、パソコンに高速で絵を書くカキ丸君、顔出しNGのVチューバーヤミコさんです。それで最後に都市伝説ハンターミヤギさんなのですが、どのような事を披露出来ますか?」


俺は話を聞きながら今回出演する奴を聞いていて、三人共に俺が知る中で変な奴らだと認識はある。それよりも最後のテレビでどのような事を披露出来るかの質問に俺は頭を捻った。俺はあくまでも動画配信者でテレビとは少し違う観点から動画を作っているだけで、ここで企画を出せなければ俺のテレビ出演はなくなる。俺は腕を組んで思考していると、横からマインが伝えて来た。


「ミヤギ君、私答えてもいい?」


俺は一瞬何を言っているのかと思ったが俺は頷いた。


「男が女をナンパするなんてのはいっぱいあるけど、逆ナンパの確率を出すのはどう?それで言う言葉が『お金ないからご飯連れてって』」


俺はマインを見て驚愕した。こいつ天才かと。

対してAD木田は腕を組んで考え込んでいる所に、さらにマインが口を開く。


「それでタイトルは『都市伝説 お金ないからご飯連れてっての女に下心満載のキモオタが何%釣れるか』なんて面白くない?」


するとAD木田が口を開く。


「タイトルは少し変更の余地ありですが、一度それで動画を作って下さい。あっネットには上げないで下さいね。それを審査して決めましょう」


そんな感じで話合いは終わった。

俺は話合いの後マインを褒めてやり、そしてマインを使ってキモオタ共を釣る動画を作成したのだった。

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