第4話 4


最初の占いから俺はもう少しポスターを分かりやすくしようと思考していた。

そう、客から聞かれた体に触るとかそう言う注意事項を入れ見栄えをよくしようと試行錯誤していた。

やり方は特に問題はないと思うけど、こんな病気を占う占いなんて水晶玉やタロットカードの占いしかしらないのだ。

昔、占い方法としてカードや水晶玉を考えた事があったが、使わない物を出してもさらに怪しくなるだけなのでボツとした。

俺は新たに思考した新ポスターと机に掛ける用のテーブルシートなどを準備した。

金を得るよりもさらに金が出て行くのだが、俺はこの能力を絶対に信用していていつか当たると思うので、投資を辞めるつもりはない。

いまの継続しているアルバイトは小学生の家庭教師のみだ。

今年6年生なので来年早々の受験で俺は家庭教師の職を失うのだ。

それまでになんとか、金を安定的に稼ぐ方法を確立したいと願う。

ただ、今の状況だと場所の費用ばかり出ていくため、その他の場所を考えなくてはならない。

さらに、もしもだがある程度の収入がある場合は確定申告や、家族からの扶養から外れなくてはならない事も頭に入れ作戦を練るのであった。


あれから3週間後、俺は前回とは別のショッピングモールへとやって来ていた。

同じ場所でもいいのだが、俺はまずこのような占いがあると言う事を広めることから場所を移す事にした。

今回の場所は三階にある専門店と専門店を結ぶ渡り廊下のような場所だ。

この場所代は立地なのかなんと2万円+消費税だ。

前回より1万円安いのだが、吉と出るか凶と出るかは神のみぞ知る。

俺は前回と同様に10時前にはセッティングを終え待機する。

そして時間が10時を回り店が開店した。


11時にこの店初めての客が来た。

俺は時計を見ながら幸先がいいと心の中で思いつつも客に視線を向けた。

歳は20代の女性だと思うが、少し思いつめたような顔をした女性だ。

女性は椅子に座ると直ぐに俺に話をしてきた。


「本当に占いで体の病気がわかるのですか?適当な事を言ってだます手法ですか?」


俺は女性の剣幕に少し動揺したが、心を落ち着けて返事をした。


「占いですのでたるも八卦、たらずも八卦といいますが、私は自分の占いに自信があり、あなたを満足させられるものと思います」


俺はゆっくりと口調で女性に声を掛けた。

すると女性は俺の顔を真剣に見つめた後に決意したのか声を発した。


「わかりました。あなたを信頼してみます」


俺はなんでこの女性はこんなにも思いつめているのか分からなかったが俺は定型の言葉を発する。


「いらっしゃいませ。どの部分を占いましょうか」


女性は俺の言葉を受けたが直ぐに返事が返って来た。


「頭、両腕、両足、体、全部見てください」と。


俺は女性の言葉に一瞬脳がフリーズしたが冷静を装い返事をした。


「わかりました」


俺は返答をした後に机に置いてある占い結果を記入する用紙の全部分にチェックマークを入れた。

それから俺は女性を椅子から立たせて右手を前に出し、手のひらを女性に向け力強く言葉を発する。


「シグナルスキャン」と。


俺は女性の体を見ながら正直驚いた。

体中黄色い色が点々とあり、さらに初めての赤色までも出て来たのだ。

俺は占い記入用紙に記入しながらどんどんと色ペンで色を付けて行った。

5分程掛けてすべての状態を記入し占いが終了した。

そして俺は女性を椅子に座らせた後にいつもの説明を行った。


「色が黄色、赤色と行くほど病気の可能性が高いと占い結果が出ました。もしも体調が優れないと感じたなら病院へ行く事をオススメします」


俺は本当は病院なんて言葉は出したくはなかったが、俺も聞いた事がないような病状がどんどんと頭の中に出て来るので思わずそう女性に話しかけた。

女性は俺から占い結果の紙を受け取り、俺の言葉を受けた後に少し驚いていた。


「どっどうして分かったんですか?」


俺はその意味が解らず答えた。


「分かると言う意味が分かりませんが、占いの結果そう出ただけですよ」


俺の言葉に納得がいってない様子だったが、女性は机の上に千円札を5枚置いて立ち上がった。


「又、来ますね」


その言葉を残して彼女は人ごみへと消えて行った。

俺は初めての全スキャンを終え少し疲労があったが、次の客はその20分後に現れた。

そしてその日は合計で1万9千円を手に入れた。

最初が5千円で残りは2千円掛ける7人だ。

そう、今日は8人の客が来たのだ。

俺はこの場所は行けると判断し2週間後の予約を入れ、ショッピングモールを後にしたのだった。


*


インターネットの掲示板ではこんなスレッドが立ち上がっていた。


『怪しい占いに行ったんだけど興味あるやついる?』


001:名もない占い師


先日○○県○○市の駅の近くにあるショッピングモールに行ったんだけど、そこで超絶怪しい占いを見つけ占ってもらった。

占うのは病気。

これだけでも怪しいのに、占う男の格好がさらに怪しい。

顔は仮面舞踏会で使うような目と鼻を隠した白マスクをしていて、白衣のようなコートを着ている若い男だ。

値段は、頭千円、両腕千円、両足千円、体二千円。

俺は最近腹の調子が良くなかったから体を占ってもらった。


それで占い方なんだけど占い師が俺に右手の平を向けて叫ぶんだ。

「シグナルスキャン」って。

俺はその瞬間、こいつ頭いてるのか?と思ったんだけど、取りあえず結果を待った。

その占い結果がこの写真よ。


ttp://***.0001.jpg


俺はこれから病院へ行こうと思う。

結果は又報告する。

それから店の様子も写メ撮って来たから写真上げとくわ。


ttp://***.0002.jpg


※1枚目の写真は健一が渡した占い結果の紙の写真、2枚目の写真は健一が店で待機している写真で、その写真には修正等のボカシは入っていない物だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る