第3話 3
3
客は見た目20代真ん中くらいの女性だ。
顔、体形ともに普通な感じの人だ。
その女性は俺の店の前まで来ると声を掛けて来た。
「すみません。占いをする時に体に
「いっいいえ、
俺は
俺の返事に納得したのかその女性は俺の店の席に座って来た。
俺はあせりの中で頭がパニックになり言葉を忘れそうになったが、シナリオ通りに事を運ぶ事にした。
「いらっしゃいませ。どの部分を占いましょうか」
女性は俺の言葉を受け机の上に置いてある値段表を見た後、俺の顔を見た後返答をした。
「体を見てください」と。
「わかりました」
俺は返答をした後に机に置いてある占い結果を記入する用紙の体の部分にチェックマークを入れ女性に語り掛けた。
「それでは今から占いますので椅子から立ち上がって下さい」
頭や腕ならその場では見れるのだが、下半身部分が机に隠れて見えないので立ってもらうしかないのが少し面倒な所だ。
女性は何故立つのかと不思議な顔をした俺の指示通りに椅子から立ち上がってくれた。
俺はそれを見届け右手を伸ばして手のひらを女性に向けて言葉を発する。
「シグナルスキャン」と。
女性は俺の言葉を聞いて少し噴き出しそうな顔をして我慢していたが、俺はそんな態度は無視して能力を発動させた。
体は首から下で足の付け根までを想定している。
俺はゆっくりと目線を首から下へ向けて行く。
ほとんど青色で表示されていたが、腹部の所で黄色に光る場所を見つけた。
俺が黄色場所を見つめると俺の頭の中に情報が流れ込んできた。
【大腸ポリープ】
俺は直ぐに占い記入用紙に記入し黄色いペンでアンダーラインを引いた。
その後さらに下へ目線を向けたが色の変化はなかった。
俺はスキャンが終わると女性に声を掛けた。
「占いが終わりましたので席に座って下さい」
女性は俺の言葉を受けて黙って席に着席した。
「これが今回の占い結果になります。信号と同じように色が濃い程病気の危険があるものと考えてください」
俺は言葉と共に占い結果の用紙を女性に手渡した。
女性は黙って俺の占い結果の用紙を見つめていたが、しばらくすると俺に声を掛けて来た。
「黄色は病気なのですか?」
「いえ、注意と
「そうですか、わかりました」
女性はそれだけ言うと鞄から財布を取り出し2千円を机に置いて立ち上がり声を掛けて来た。
「ありがとう。占いとは言え一度病院へ行くわ」
それだけ言うと女性は足早に店を後にした。
俺は机の上の千円札二枚をしばし、ぼぉーと見つめていた。
すると段々と内側からうれしさが溢れて来た。
やった!やったぞ!
ついに俺の能力で金を稼ぐ事が出来た!
俺はその千円札を内ポケットにそのまま入れ、行き
*
シグナルスキャン初めての客から2週間後インターネット上に一つのブログが更新された。
『サキの占い道中記』
今回は偶然にも私が時々行くショッピングモールで変な占いを見つけたので突撃してきました。
占いの名前は「シグナルスキャン」。
名前を聞いただけじゃ分からないよね。
なんとこの占いは体の病気を占ってくれるの。
正直、めっちゃ!怪しくない?
さらに怪しいのが占いをしてくれる人なんだけど、なんとその人は男性なんだけど目から鼻に掛けて白い仮面を付けてるの。
一言で言うと仮面舞踏会で使うような怪しいやつ。
男の年齢は20代だとは思うんだけど、服装も白衣に似たような感じなの。
超絶に怪しくない?
私も正直めちゃくちゃ怪しいと思ったんだけど、私の占い道中には占いがあるなら受けて見ろってのがあるから突撃してきました。
簡単な概要なんだけど、値段は、頭千円、両腕千円、両足千円、体二千円。
体には触れずに占うタイプ。
それで信号と同じように青色、黄色、赤色で重要度を判断って感じ。
それで占ってもらった結果が下の写真。
そこには健一が女性に渡した紙の写真が掲載されていた。
私はどんなに怪しくても占いを信じているので、一応病院に行ってみたの。
結果はビックリ!
占い結果と同様に大腸にポリープが出来ていたの!
あっもちろんその場で切除はしてもらいました。
検査の結果は特に現段階では問題はなかったので超安心しました。
占いはこうゆうのがあるから、やめられないよね!
これからも怪しい占いがあったら突撃しますので楽しみに。
そしてブログの下には健一の顔にはモザイクが掛かっていたものの、店の写真が掲載されていた。
サキの占い道中記を掲載し初めてこの怪しい占いの記事の閲覧数が、過去最高を叩き出した事をまだ健一は知る由もなかった。
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