第2話 出会い

≪どん!≫

後ろから走ってきた人にぶつかられた。


いや、蹴り上げられたような感じになった。くるっと回って無事に着地。角煮まんも無事だった。


一言文句を言おうとしたが、その人は他の人にも次々当たりながら快走していて、言うタイミングを逸してしまった。


走り去る人は、さらに次々とぶつかる度に、食べ物に当たったり、食べ物を落としてしまう人もいたり、本当に迷惑な感じで去って行った。


≪どん!≫

 迷惑な人がいるなと思っていると、後ろから走ってきた人にぶつかられた。いや、蹴とばされた。


『なんなんだ!?』

今度は先程とは違い、空中に上がらず地面とほぼ平行に飛ばされてしまい転んでしまった。角煮まんも地面に激突した。悲しい。


「すみません。すみません。すみません。大丈夫ですか?」

 女性の声がして、しきりに謝ってくれている。


「あっ、大丈夫です。」

顔は地面とほぼ接する状態であったが女性の声に反応して強気な回答をする。顔をあげると、そこには綺麗な女性が立っており、ブッコローを蹴ってしまった足をさすりながら謝っていた。


「怪我、していないですか?」

ブッコローは女性のことを気遣い、自然と声をかけていた。


セリフ、逆じゃないか?そう感じながらいると、女性は周囲を気にしながら私を起こしにきてくれた。



そういえば、まだ転んだままだった…



女性は気まずそうにしている。お互いに何だか恥ずかしい部分もあり、自然と笑いがこみあげてきた。


「クスクスッ」

二人で笑いあった。


「私は大丈夫です。あっ、角煮まん、落としてしまって、ごめんなさい。私、買ってきます!」

止める間も与えず、女性は買いに行ってしまった。


角煮まんは私の分と彼女の分を1つずつ買ってきてくれていた。せっかくなのでと一緒に食べることとなり、彼女の名前は奈央と紹介をしてもらった。


「R.B.ブッコローさんですよね。」

「え~、知ってくれているのですか?」

「私、YouTubeみているんです。」

YouTube、凄いな、もっと配信しよっと…

そう心に近った!


「今日は休暇ですか?」

「ガラスペンの取材で来ていて、駅の近くのカフェで待ち合わせなんだけどね」

「駅の近くのカフェって トンボですか?」


「え、有名なんですか?」

「あそこ、最近できたカフェなんですよ。よく打合せで使われるみたいなので何となく…、あ、角煮まん、カラシ付けるとおいしいですよ。」

奈央は話をしながらカラシを取り出した。


「そうなの? えっ?これ、カラシだったの、ピンク色なのに?」

「この店、今日からカシス香り付きのカラシ始めたって書いてましたよ。」

「つけてあげますね。あっ!!!」


「ぎゃ!」


奈央がカラシの袋の切り口を開けてカラシを角煮まんに近づけようとしたところ、指に力が入り、袋からカラシが飛び出てブッコローの目についてしまった。


「あー!、ごめんなさい。 えー、このメガネ、レンズ付いていない。それより、目がメガネの枠より前に出てる!!」

急いで目を拭いてもらう。


「も、もう大丈夫、ちょっと染みたけど・・」

メガネを拭く奈央・・・何度も首をかしげながらメガネを拭く・・・


「びっくりしちゃった。ドジっ子でごめんなさい・・・、メガネも高そう」

「このメガネ、実は…。」

「あっ、ハネの裏にもカラシついてますよ~。」

メガネの話、聞いてない・・・



「ぐえっ」

突然、奈央がヘッドロックをしてきて声が漏れた。


奈央がブッコローのメガネの枠に左手の指をかけ、右腕でブッコロー本体を抱えて走り出した。


たったったっ・・・。

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