R.B.ブッコロー、乗り気ではないが取材に行く!≪ガラスペン盗難事件≫ ~R.B.ブッコローが知らない世界~
難波とまと
第1話 取材へ
<到着>
新幹線から降りた。朝早い時間でもあり、風が冷たく寒い。
ブッコローはガラスペンの取材のため、新幹線に乗ってガラスペン工房のある街に来ている。この街の工房にはインクの色も数多くあるとのことで、普段は取材なんてものには興味を示さないのだが珍しく来てしまった。どんどんガラスペンにハマりつつある。
ところで、今、困ったことが発生している。着いたはいいが同行予定のいつもお世話になっている書店の担当者が何やら急用があるとのことで遅れると連絡があったからだ。
「はぁ、まったく。。。」
つい、ため息とともに言葉が漏れる。いや、いつもだいたいこんな感じか?昨日、打合せをしたときには早めに着いて近くにある滝でサムネ用の撮影をしようと話をしていたのだが、省くこととなった。正直ちょっと乗り気でなかったので良かった。濡れると困るフォルムをしているのを理解されていないと感じるときがある。
「ガラスペン工房に着いたときにビショビショに濡れてしまっていたら、どうするつもりなんだ? そもそも、こんな寒いのに”滝?”、 ないないないない!」
独り言が止まらない。とりあえず合流するまでの時間が空いたため以前から興味があったこの街の商店街に向かうこととする。ちょっとやる気が出てきた。ただ、一つ気になっていることがある。最近、不思議なことが身の回りに起き始めていて胸騒ぎがする。
<商店街>
最近手に入れたビンテージメガネをかけ、お忍び気分を満喫することとした。
このビンテージメガネはフリーマーケットで手に入れたもので傷だらけでボロボロだったものを購入した。いいメガネは傷とか磨くと綺麗になると聞いていたため、お世話になっている眼鏡屋さんに修理をお願いしたらピカピカにしてくれたが、無茶苦茶高くついてしまった。
実はこの高くなった部分が特に気に入っている。
人と話すネタにもなっており、初めて話す場合には話題として役に立っている。このネタを用いて見知らぬ場所で“ラブコメ的な出会い”を期待している日々だ。
「あー、ほんとっ滝でなくてよかった。」
つい本音が漏れた。そう思っていると時間が惜しくなり、タクシーに乗って商店街に移動した。意外と近く、歩いても(飛んでも)良かったと思う距離でもあった。
「近い?、気のせいだな。帰りもタクシーだな、タクシー」
貴重な出会いの時間は余すことなく確保したい。
「呼ばれてからタクシー拾って戻ろう。うん。」
そう心に決めた。いや、声にでていた。ここの商店街は異国の感じがする。食べ歩きしている人も多く、美味しそうな香りが漂っている。食べ歩きする人が多いこともあり、ゆっくり移動する人の流れに沿って歩く。1車線ほどの幅の道の両側に店舗が連なっており、店頭でいろんな食品が売られているので縁日のような気持ちになってしまう。
「この角煮まん、1つください」
つい、買ってしまった。大きい角煮一切れをモチモチの生地で挟んだような形だ。大きい角煮がはみ出している部分が豪華な気がして買ってしまった。くちばしで角煮をつつく。美味しい。帰りにも買おうかな。問題点があるとすれば、歩きながらくちばしで食べるにはちょっと難しいことくらいかな。胸騒ぎは気のせいだな。
≪どん!≫
誰かにぶつかられた!
まさか、このことがガラスペン盗難に関わっているとは、このときは思いもしなかった…
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