雅人の気遣い!?
「あははははははは~。これは夢だよ~夢~。あははは~」
ここは婚活パーティの会場。そこにポツンと
―― みんな…幸せそう。嫌だな…帰りたい。お化粧も服もぐだぐただし…。しかも、ここってモジャ
正直
そう、周りの男女は結婚式会場のように素敵に着飾って、いつの間にかカップルも成立している。
お風呂にも入っていなかったことを思いだし、猛烈に誰にも気付かれたくない気分になる。
そんな
「どうぞ」
「えっ? ど、どうも」
「もう一杯どうですか?」
「あ、いえ。もう帰るんで」
「あはは。青木さん、遠慮しないでとりあえず飲んだら?」
どこかで聞いた声が聞こえる。
―― えええ? 鳥山くん? 何でここに?
驚きながらも、言われるがまま、
「鳥山くん、今日はお嫁さん探し?」
「まーそんなとこかな? 人生のスケジュールで言うと、来年が結婚式の予定。そして次の年に家を買うんだ。中古だけどね。これが僕の人生線表」
「へぇ~、すごいね。人生設計ってことかな?」
―― なんのこっちゃ? 人生の線表? ウケる(笑) 鳥山くんらしいっちゃ~らしいけど…私には関係ないかな? えへへ。それより…早く帰らなくちゃ。
「ねぇ、見てよ。僕の予定では、この地点で出会った将来の嫁さんは君だから。二人で結婚までのスケジュールを立てなくちゃね」
「そろそろ…帰ろうかと…、って。えっ? 結婚?」
―― 今何て?
爽やかな顔で
見つめ…?
―― えっ? ちょっと待った! 待ったぁーーー!
「ちょっと! 離れてくれない?」
あまりにも強引で、力では勝てない
もぉ、チューぐらいいかな? 疲れたし
「ちょっと待った!」
「「な、何?」」
ダンスを踊るように、別の男が軽やかに登場した。まるでミュージカルのワンシーンみたいだ。
その人物は素敵なモーニングスーツを着こなし、白い手袋を片手に、もう片方の手に花束ならぬシャンパンの瓶を抱えて立っていた。
「た、高橋さん?」
「そんなガキから離れて、さぁおいで! 僕のもとへ。」
いつの間にかシャンパンは
「高橋さん…」
「
―― あぁ~素敵。何これ! やっぱり
―― うん? ちょっと待って。何かがおかしい。嫌な視線を感じる…。
「弟子1号?」
―― えっ? えっ? 止めてっ!
顔を上げ、側にいる人物を確認する。
―― も、モジャ
「ひっ!」
勢いよく目覚めた
―― な…何? あ、そうか…。ここは会社だ…。寝ちゃったんだ私…。何ていう夢を見ちゃったんだろ。うん? これは?
背中の部分には、OHJIと刺繍が施されていた。中学生のジャージか?
「
雅人が風邪を引かないようにと、
でも、完全に寝姿を見られた。
そんな雅人の優しさのことより、
そして思わずジャージをクンクンする。
「う…っ、げほっ、げほっ」
―― く、臭い…。
梨花子はジャージの臭いに顔を歪める。でも、昨夜は寒くて目が覚めるなんてことはなかった。きっとこのジャージのお陰だ。優しいところもあるんだな~なんて
スマホを見ると、朝10時ちょい前。雅人にも謝らなければならない。納品はもうすぐなのだ。
―― ヤバい! 遅刻してる!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます