初めてのキス!?
「おはよ~。あれ?青木さん…。徹夜したの?」
爽やかに出社してきたのは、同期の
「おはよ~。鳥山くん。顔もボロボロだし、なによりお風呂に入りたい…。臭かったらごめんね」
「えっ? 臭くなんてないけど。何で徹夜なんかしてるの?
「う~ん。一緒といえば一緒だけど、あそこで寝てるんだよね。人にやらせて自分は寝るって、どう思う?」
「でも僕にとっては、青木さんの方がうらやましいな」
「え? 徹夜してるのが羨ましいの? 鳥山くん変わってるね」
「いや、そうじゃなくてさ。仕事を任されてるってことでしょ? 僕なんて、まだドキュメントの整理と雑用くらいだよ。青木さんには差をつけられちゃってると思うな」
「いやいや…。そんなことないよ。高橋さん優しそうじゃない? いろいろ教えてくれるしさ~。私からしたら、鳥山くんの方が断然羨ましいよ。大切にされてるっていうかさ」
隣の芝生は青々としているものだ。そんな話をしていると、
「お、朝から元気だね」
「「おはようございます!」」
「おや?青木さん…。徹夜したの?」
「あ、えっと」
「雅人に頼まれたのかな? そっちは納期近いからね~。でも朝早く来て対応することだってできるんだから、無理しない方がいいよ。雅人の時間軸に付き合わされると、体がもたないよ」
―― 雅人めーーーーーっ。高橋さんの爪の垢でも煎じて飲んどけーーーっ。
普通にテストをしていても面白くないから、デバック用にところどころメッセージを仕込む。
『テストだよぉ~ん』
なんだかテストが楽しくなってきた。さすがに『ばぁ~か』の文字は消したけど、自己採点は良い感じ。後は変人に確認してもらえば終了。問題がなさそうだったら(まーあるだろうけど)、早めに帰らせてもらおう。
しばらくして、雅人が眠そうな顔で戻ってきた。頭をガシガシ掻きながら、大きな
「弟子1号、できたのか?」
「あ、おはようございます。はい。完璧です!」
―― 挨拶もなしなんかい!? 失礼しちゃうなーっ。
「よろしい。じゃ~後で俺が確認するから、マニュアル作成頼むわ。明日までドラフト作って見せて」
「えっ? 明日までですか?」
「そう、明日の午前中までね」
ありえない…。今日依頼して明日出せなんて。
「青木さん、今日も徹夜かもねー」
二徹なんてぜったい無理!
時間はあっという間に過ぎていく。
「青木さん。お先! ほどほどにね」
―― 置いてかないで~~~っ。私も帰りたい…。
時間は無情に過ぎていく。
「眠い…」
隣では雅人が猛スピードでキーボードを叩いている。何か作っているようだけど。ぶつぶつ独り言を言っている。
「う~ん。そう来ましたか。ではこれでどうですか?」
―― 嘘でしょ? パソコンと会話してる? あはははウケる(笑)
雅人は仮眠をとっているのだから、眠くなくても当たり前。昼夜が、逆転している生活ってどうなの?っと思わずにはいられない。
―― あぁ~隣にいるのが高橋さんだったらいいのにな~。仕事の進め方もスマートだし…。見てるだけで幸せな気分になれるし、絶対仕事がはかどると思うのに。
「青木さん、頑張ってるね」
―― えっ? た、高橋さん?
帰ったはずの
「えっ? 高橋さん? どうして?」
「あ、忘れ物をね」
「忘れ物?」
うん。そう、と言いながらも何か照れたようなはにかんだ顔をしている。
「いや、本当は君が心配でさ…」
「えっ? 高橋さん…」
何々?
「
いつの間にか側にいる
――
「大好きだよ。
「あ…私も」
ピピピピピピピピピピっ
「えっ? 何?」
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
壊れたファイルのように、画面一面に「あ」が表示されているのだ。
もちろん、
や、やばい。寝落ちしてたんだ…。
『ねぇ~寝ちゃいなよ。いいじゃん~。変人雅人くんだって寝てたんだしさ~』
幻聴だ。
「おい」
「…」
「おい!」
「えっ?」
「おい、弟子1号。寝てこい」
―― 寝るの。私。寝る…。
「寝ます」
「おい。そこで寝るな。あっちにソファーがあるから、寝るならそこで寝ろ。パーテーションもあるから」
雅人がいつも寝てるところだ。同じところで寝るなんてイヤだと思う気持ちよりも眠気が勝っていた。何も考えられない。ただ寝たいだけ。
とぼとぼとソファーまで歩いた記憶はあるが、
どのくらい時間が経ったのだろう?
寝ているところに男性が自分を見下ろしている。そんなシチュエーションに恐怖や恥じらいを感じても良いはずだが、
―― まさか…ここで寝たいと思ってるとかないよね。でも、もう…どうでもいいか。
フワっと、何かが身体に掛けられたような気がした。でも何も言えず確かめることもできず
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